第18話

二人の距離
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2019/03/18 02:14
夏休みも、生徒会は忙しかった。


何度も学校に行って、その度に何度も先輩と顔を合わせた。


だけど、前と違う。


嬉しさより切なさが勝る。


それに前より話さなくなった。


目は合うけど、私が逸らしてしまう。


先輩も、なんだか困った顔で。


先輩との距離感が、分からない。


文化祭当日。


「玲奈っ、次どこいく?」


「えー、お化け屋敷とかっ?」


「やだーっ!」


シフトを一緒にしてもらった私たち4人。


だからみんなで一緒に回れる。


複雑…


あーぁ…


先輩と…回れたら…


またそんなことを考えてる自分がいる。


「あなた…いいの?」


「へっ、何が?

いいよ全然、私は、お化け屋敷で。」


「って、違うよー!

どこ行くかじゃなくて、一ノ瀬先輩のこと!」


優梨ちゃんが私の顔を覗き込む。


「いいって、だって彼女いるって…」


もう、どうしようもないじゃん…


「でも、自分の気持ちは、伝えなくていいの?

このまま何もしなくていいの?」


自分の気持ちを…伝える…


「そんな、振られるってわかってて無理だよ…」


私、そんなにメンタル強くない…


振られる覚悟なんてないもん…


絶対先輩の目の前で泣いちゃうもん…


「どうせ一ノ瀬先輩も今年卒業だよ?

文化祭が終われば先輩たちは自由登校、生徒会も引退だし、会う機会少なくなるよ?

このままフェードアウトしていいの?」


「…」


そんなこと…言われても…


「私はあなたに後悔して欲しくないよ…」


後悔…


優梨ちゃんの言葉が頭に残ったまま、文化祭は3日目が終わり、いよいよ後夜祭。


後夜祭って告白する人が多いんだよね…


告白…かぁ…


無理だよ、私には。


無理無理…。





「あれ、一ノ瀬先輩は…?」


文化祭が終わって1週間は穏やかに時間が過ぎていた。


会計の仕事もそろそろ終わり。


3年生の自由登校…来週からだったような…?


「あ、いたいた!」


生徒会室のドアの前に立っていると、3年生の教室の方から走ってくる生徒。


って、片桐先輩!?


「っはぁ、君があなたちゃん?」


え、わ、私!?


「はい…そうですけど…」


「ちょっと来て!!」


腕をぐいっと引っ張られ、そのまま外へ。


「あの!これはどういう…」


い、意味がわからないのですが…!?


「とりあえず乗って!

話は車の中で!」


車の後部座席に乗せられ、隣に片桐先輩。


怪しすぎるんですが…どういう状況…!?


「あの…」


「突然だけど、落ち着いて聞いて欲しい。」


「…?」


「侑生は今、危篤状態だ。」


「…え?」

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