第5話

これから
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2019/03/04 09:50
「ありがとっ!

そう言えば、みんなカレシとかいないの?」


優梨ちゃんが目をキラキラさせて聞いた。


「私はー、付き合ってもうすぐ3年になるかな。」


と、玲奈ちゃん。


「え、玲奈が!?

意外!

恋愛とか興味無いかと思った!」


優梨ちゃんの言葉に玲奈ちゃんは笑いながら返した。


「よく言われる〜

私も、告られた時は全然興味なかったから〜」


「へぇ〜…

葵は?」


「私は最近別れたばっかり〜…」


すごいなぁ…


みんな、付き合ったこととかあるんだ…


3人が大人に見えてきた…


「あなたは?」


「えっ…」


わ、私…は…


「いないよ…」


なんか、急に恥ずかしい…。


みんなはもう色々なことを経験して、恋がどんなものなのか知ってる。


それに比べて私は…


「そっかぁ〜

じゃあ、中学の時は!?」


「いなかった…

あの…私、ね…カレシいた事ないの…

好きな人も…」


私は俯きながら言った。


カレシが欲しくなかったわけじゃない。


恋愛に興味がなかったわけじゃない。


告白してくれる人も、何人かはいた。


でも、“付き合う”ってどういう事なのか分からなくて。


好きって気持ちも、いまいちよく分からなくて。


ケーキが好きとか可愛いものが好きとか、そういう“好き”とは違うって分かってる。


でも、ドキドキとかキュンっていうのは分からなくて。


そんな気持ちのまま付き合うのは申し訳なくて、全部断わった。


少女マンガは好きだから色々読んでみてるけど、マンガみたいな出会いは現実には転がっていない。


私、感覚がおかしいのかな?


恋をすると可愛くなるって何かで読んだ。


みんなキラキラ輝いてる。


私だけ、知らない。


私だけ、暗闇にいる。


こんな私、やだな…


「じゃ、これから楽しみだねっ!」


「え?」


ぱっと顔を上げると、優梨ちゃんがニコッと笑った。


「あなたにはこれから恋を知るって楽しみがあるじゃん。

いいなー、戻りたー…」


「高校生にもなって初恋がまだって、変じゃない…かな?」


「えぇー、全然変じゃないよっ?

私のお姉ちゃんも、初恋は高校2年生の時って言ってたから。」


葵ちゃんもそう言って微笑む。


そ、うなんだ…


心がじんわり温かくなった。


「これから好きな人できるの、楽しみだねっ」


「うんっ」

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