第18話

傷痕④
204
2021/08/24 13:49
_ _ _ 脇side _ _ _


次の日 俺は大学病院にむかった。
この時の俺は何も知らなかったんだ。

だからあんな現実が待っていたなんて
考えてもいなかった。



脇
ふぅ、、、んじゃっいくか。
俺は大学病院へはいった。



部屋番号も知らないしどうすっかな。


とりあえず看護師さんにきいてみるか?

脇
あ!あの!すいません!
看護師
看護師
え?あ、はい!どうなされましたか?😊
脇
あの、、、篠宮っていう男の人が
ここに入院していると聞いて。
看護師
看護師
、、、、ご友人の方でしょうか?
脇
え、、、あ!はい。
咄嗟に嘘をついた。


本当は何も知らない他人だけど。

看護師
看護師
そうでしたか😊
いつも妹様しかお見えにならないので
ご友人の方がお見舞いに来てくださったら
篠宮さんもさぞお喜びになります♪
では、ご案内しますね😊
看護師さんは嬉しそうに俺を案内してくれた。
看護師
看護師
こちらになります😊
ごゆっくり。
脇
あ、はい、ありがとうございます。
管理病棟、103号室


そうかかれていた。



ガラッ、、、、、。



扉を開けるとそこには体中に機械みたいなものをつけた
男性がベットに横たわっていた。
脇
、、、、失礼します。
俺はそっと彼の横へと向かい、椅子に座った。
あなたの兄貴。

その人は目を瞑ったまま、口から人口呼吸器のようなものを
取り付けられている。

ピッピッという機械音が部屋に響き渡っている。

ドラマでしか見たことがないけどきっと心電図ってやつだ。
脇
あの、、、俺、、、妹さん、、、
あなたさんの友人の脇将人って言います。
はじめまして。
とりあえず挨拶をしたが
返事がかえってくるわけがない。


彼は固く目を閉じ静かに眠っている。




ガラッ



看護師
看護師
失礼しますね。新しいお薬を塗る時間なので、、、
えっと、、、ご友人の方には席を外していただきたいのですが、、、。
さっきの看護師さんが部屋に入ってきた。
脇
あ、すみません、、、。
看護師
看護師
もしかして、、、入院してから
初めてお会いになられますか?
何かを察したように看護師さんが聞いてきた。
脇
、、、、、はい。
看護師
看護師
そうでしたか、、、ビックリされましたよね。
でも今は状態も落ち着かれてますよ😊
心配なされなくても大丈夫ですよ♪
脇
あの、、、一体、、、彼に何が、、、?
名札を見ると 篠宮 和也 そう書いてあった。
脇
和也くんに、、、一体何があったんですか?
看護師
看護師
、、、、何も知らないのですね、、。
私共のくちからは個人情報保護であまり
公言してはいけないのですが、、、。
看護師さんは俺の様子を見てか
重いくちを開いてくれた。
看護師
看護師
なんでも、過去にひどい虐待をうけていたそうです。

、、、、傷口ご覧になりますか?
俺は一瞬戸惑った。
脇
、、、、はい。
だけどここで勇気を振り絞らなければ
彼女の過去にはたどり着けない。


そう思って俺は和也くんの傷口を見せてもらうことにした。
看護師
看護師
わかりました、、、では。、、、ヒラッ
看護師さんは和也くんの病衣をめくり
腹部を見せてくれた。


そこには想像を絶する光景が広がっていた。
脇
、、、、う"っ!
看護師
看護師
大丈夫ですか?
脇
、、、はい。
そして看護師さんは俺の顔色を見つつ
ひとつひとつ説明してくれた。
看護師
看護師
こことここ、あとここが鋭利な刃物で
刺された傷跡です。
当たり所も悪く出血も多量で意識不明の重体として
搬送されてきました。
脇
、、、、。
看護師
看護師
そしてここ。腹部から首筋にかけて
筋肉が硬直してしまうほどの酷い火傷のあとです。
看護師
看護師
これはもう、現代の医療では回復しきれないほどの深手です。
なので毎日軟膏を塗り替えて処置しています。
脇
、、、、、この火傷はどうして。
看護師
看護師
私も詳しくはわからないのですが、、、
何でもご家庭で酷い虐待をうけていた妹さんを
かばうようにして
熱されさ油をかぶったそうです。
脇
、、、、、まじかよ、、、。
看護師
看護師
詳しい話は妹さんに聞くのが1番かと、、、。
でもかれこれ5年以上篠宮さんは意識をとりもどすことも無く
人工呼吸器の装着をしなければ生き延びることが
できない状況になってしまいました。
看護師
看護師
私達も毎日お見舞いに来てくださる妹さんを見ているととても痛々しくて、、、
脇
わかりました、、、、ありがとうございます。
俺、ちょっと部屋出ますね。
俺はこらえきれなかった。



ガラッ、、、、



そして部屋を出た。
脇
、、、そんなんありかよ、、、。グスッ
俺は涙で視界がいっぱいになった。


近くにある談話室の椅子に腰をかけて
こらえきれない涙を隠すようにして泣いた。
これだけじゃ、彼女がどうしてあいつの傍にいるのか
わからない。

だけど彼女の背負うものはあまりにも大きくて
俺の想像をこえていた。


声をかけても返ってこない返事を
彼女は5年間も待ち続けたんだ。

何があったかは知らない。

だけど彼女を庇って油をかぶった実の兄貴。

彼女の心の中は罪悪感でいっぱいなんだろう。


俺はどうして彼女があんなに悲しい目をしているのか
やっとわかった気がする。


そんな気になってしまって
勝手に涙が出てきて止まらなかった。

プリ小説オーディオドラマ