_ _ _ 脇side _ _ _
次の日 俺は大学病院にむかった。
この時の俺は何も知らなかったんだ。
だからあんな現実が待っていたなんて
考えてもいなかった。
俺は大学病院へはいった。
部屋番号も知らないしどうすっかな。
とりあえず看護師さんにきいてみるか?
咄嗟に嘘をついた。
本当は何も知らない他人だけど。
看護師さんは嬉しそうに俺を案内してくれた。
管理病棟、103号室
そうかかれていた。
ガラッ、、、、、。
扉を開けるとそこには体中に機械みたいなものをつけた
男性がベットに横たわっていた。
俺はそっと彼の横へと向かい、椅子に座った。
あなたの兄貴。
その人は目を瞑ったまま、口から人口呼吸器のようなものを
取り付けられている。
ピッピッという機械音が部屋に響き渡っている。
ドラマでしか見たことがないけどきっと心電図ってやつだ。
とりあえず挨拶をしたが
返事がかえってくるわけがない。
彼は固く目を閉じ静かに眠っている。
ガラッ
さっきの看護師さんが部屋に入ってきた。
何かを察したように看護師さんが聞いてきた。
名札を見ると 篠宮 和也 そう書いてあった。
看護師さんは俺の様子を見てか
重いくちを開いてくれた。
俺は一瞬戸惑った。
だけどここで勇気を振り絞らなければ
彼女の過去にはたどり着けない。
そう思って俺は和也くんの傷口を見せてもらうことにした。
看護師さんは和也くんの病衣をめくり
腹部を見せてくれた。
そこには想像を絶する光景が広がっていた。
そして看護師さんは俺の顔色を見つつ
ひとつひとつ説明してくれた。
俺はこらえきれなかった。
ガラッ、、、、
そして部屋を出た。
俺は涙で視界がいっぱいになった。
近くにある談話室の椅子に腰をかけて
こらえきれない涙を隠すようにして泣いた。
これだけじゃ、彼女がどうしてあいつの傍にいるのか
わからない。
だけど彼女の背負うものはあまりにも大きくて
俺の想像をこえていた。
声をかけても返ってこない返事を
彼女は5年間も待ち続けたんだ。
何があったかは知らない。
だけど彼女を庇って油をかぶった実の兄貴。
彼女の心の中は罪悪感でいっぱいなんだろう。
俺はどうして彼女があんなに悲しい目をしているのか
やっとわかった気がする。
そんな気になってしまって
勝手に涙が出てきて止まらなかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。