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2019/07/16

第6話

嫌いだ2

🐴

________







__藤枝のあの表情が気になって仕方ない。


結局あの後
藤枝は何も言わず
黙って資料室に行ってしまった。

デスクに戻ってきてからも
話しかけてもわざと口悪くからかってみても、俯いて無視をされるだけだった。


テ「(...別にいつも通り言い合いしただけじゃん...何あんなキレてんのかな...)」



昨日からずっとそれが悩ましくて
今日も朝の通勤ラッシュに揉まれている。






今日は

電車で藤枝は見かけなかった。






会社に着くと
いつもの藤枝のふわふわした茶髪が見えて
何故か少し安心した。




...なんで安心?




...まだ機嫌悪いかな






テ「おい、同期が来たら挨拶くらいしろよ」




今まで毎朝藤枝が
嫌いであろう俺にも「おつかれ」と挨拶があったのに、今日はそれすらない。

やっぱり 昨日の機嫌の悪さがまだ続いてるみたいだ。



じ「.....。」



...やっぱだんまりかよ。

なんか調子狂う。

犬猿の仲って言われてるとはいえ
いつも少しの会話なら普通に出来てたし
こいつの人の良さからか
そんなに心底悪い気になることなんてなかったのに...



なに無視してんだよ。
いつもの悪態よりずっと腹が立つ。




テ「いつまでそのだんまり続けんの?仕事に支障が出るんだけど。」




イラつきのせいで
思ったよりずっと冷たい言い方になってしまった。






じ「_...ん。...そうだな。ごめん。」





自分でもやばって思ったくらい冷たい声に対して 返ってきた藤枝の声は 掠れたように小さくて

少し震えていた。





また心臓がチクリと痛む。





テ「...なに素直に謝ってんの、頭とか打った?」





藤枝の弱々しい声にも
その言葉にも
思わず戸惑ってしまって
また冷たく返した。



少しの沈黙の後
また藤枝が小さく口を開く。








じ「...ねえ、俺のこと嫌いなんでしょ?」


テ「っは?」


じ「嫌いなら もうほっといて。仕事ならちゃんとするから。」


テ「...んだよ、ちゃんとこっち見て言えよ!」




イライラと黒いものと
こいつへの不思議な感情が溜まって



座って視線を落としたままの藤枝の肩を強めに掴んでこっちを向かせた




それでも
まだ俯いたまま。






下を向いて表情がわからないまま
藤枝の太ももにぽたっと水滴が落ちる。





テ「__っ!?」





1滴落ちたそれは

立て続けにどんどん落ちて

藤枝の太ももを少しずつ濡らした。









__泣いてる...?


__なに、なに泣いてんの、こいつ。



なんで泣くんだよ









正直なところ少しパニックになってしまった。



泣かせるつもりなんてなかった。




チクチクと痛んでいた心臓が
今は刃物で刺されているかのように痛む。








テ「な、なに泣いてんだよ、悪かったよ」






今までの冷たく発していた声じゃなく

できるだけ優しい声で

慌てて藤枝の前にしゃがんで
自分のスーツの袖口で その涙を拭った






唇を噛んで
嗚咽も漏らさずただぼろぼろと涙を零す藤枝の顔がやっと見えて

その顔に
もっともっと胸が痛くなった。






テ「ごめんって、なあ、泣くなって」






幸い皆から見えづらい小さなスペースにあるデスクで
おろおろしながら、この胸の痛みがなんなのか疑問に思いながら
藤枝の涙を拭う。







じ「...........そんなこと するな。優しくするなよ」










震える小さな声。









そんな声でも
言葉を発してくれたことに少し安心して
優しい声を意識して返す。



テ「お前なあ、せっかく人が心配してんのに」



まだぼろぼろ零れてくる涙をもう一度拭って
邪魔な眼鏡を勝手に外した




テ「ほら、ティッシュやるから、な?」


じ「.......嫌いなんだろ?きもちわるいんだろ?ならもう関わんないでよ.......ッ」


テ「なっ、そんなこと言ってねえだろっ」



.....ん?

いやまてよ。




昨日の会話を思い出す。


...あー、言ったなそんなこと。言ったわ。






テ「....いや、言ったな。」



反省して藤枝の顔を見ると
また涙が溢れる。



じ「俺ももう仕事以外で関わんないようにするから、もうやめるから、


...もう 近づかないようにするから」





今度は自分の袖で涙を拭いながら

そんなことを言われて



心臓がぎゅっと
すごく苦しくなった。






...藤枝のこういう顔、なんか嫌だな。


こんな顔はさせたくない。


こいつと関わんないのも....
なんか、なんか嫌だ。






テ「...んなこと言うなよ、昨日は悪かったって、俺も言い方もうちょい考えるようにするから...」




子供をあやす様に
ゆっくり藤枝の背中をさする





じ「...もうやだよ、寺島のこと考えるのも、嫌われるのも、自分が嫌な奴なのも、」


テ「....ぇ?」



じ「なんでいっつも上手くいかねえの?俺が嫌な奴だから嫌いなの?


寺島のこと


寺島のこと




すきだから




きもちわるいの?」










____ぇ、なに?



俺のこと

すき?

こいつが?

え?

どういうこと?







一向に泣き止む気配の無い藤枝を前に


嫌われているはずなのに


そんなことを言われて


胸の痛みと一緒に


きゅーっと

切ないような甘いような

不思議な苦しさを感じた。

















→続