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2019/07/18

第7話

嫌いだ3

🐰

________










もう
どうにでもなれって思った


悲しくて
苦しくて







入社してから
自分の素直じゃない性格や
寺島の口の悪さのおかげで
仲良くなるどころか喧嘩ばっかりするようになって

仲良くなりたくて勇気を出して始めた会話は

いつしか周り公認なほどの言い合いになって


可愛くない自分に腹が立って


嫌われていることに虚しくなって


それでも


いつも話せることが嬉しかったし

嫌われているとしても

毎日近くに居れることが嬉しかった。

日々少し傷付くくらいなんともなかった。


でも、いつからかな、


きっといつの間にか
俺も無理をしてたんだと思う。

そりゃそうだ

好きな人に嫌われて 悲しくないはずがない。




叶わないことはもうやめよう。

自分の首をしめるのはもうやめよう。


そう思いながら
毎日少しずつ諦めてきたのに




昨日の寺島の言葉が
頭から離れなかった




『冗談きつ、やめろよきもちわるいw』




いつもなら軽く言い返して流せた台詞かもしれないけど
タイミング悪く気に病んでいた昨日は
不思議とそれから声が出なくて
込み上げてくる涙を必死に堪えるのに一生懸命だった。



家に帰ってからも
その言葉が頭の中をぐるぐる回って


まあ きもちわるいよな

って 納得したり


なんであんな言い方されなきゃいけないんだ

って 虚しくなったり





ただ



好きなだけなのになぁ



って




泣いたり。










毎朝の電車に寺島が乗っていることは
もちろん気付いてた。
気付いて、たまに盗み見ては嬉しくなってた。


だから


今朝は電車の時間をずらして

いつも通りにするんだって意気込んでたけど




寺島の顔見たら


もう全部だめで



好きで


好きなだけで


こんなに苦しいなんて。









みっともなく泣いてしまって
苦しくて足掻いていた言葉がぽろぽろ口から零れ落ちて



思わず好意まで口に出した。




こうなったらヤケだ。

なんなら仕事だって辞めてやる。







でも
好きと口にした途端

今まで聞いた事ないほど優しい声で宥めてくれていた寺島が
口を噤んだ。






...ああ

びっくりしたかな



やっぱ
軽蔑されちゃうのかな




そんなこと思いながら俯いていると


寺島の奥後ろから大きな声が聞こえた。





上司「え!?藤枝くん!?」





上司が驚いた声をあげてかけよってくる。


上司にしては若くて端正な顔立ちの彼が寺島の隣に立って
焦りながらも心配してくれた



上司「え~?;; どうしたの体調悪いの?...寺島くん泣かしたの!?」


テ「ぅっ...すみません...」


上司「も~!藤枝くんは今すぐ休憩!寺島くんは付き添う!あとで二人共お説教!」



優しい上司に腕を引かれて立ち上がらされて
寺島と一緒に休憩室に押し込まれた。








________










テ「....ぁー、藤枝?」


じ「...んだよ」


テ「とりあえず座って、落ち着いて話そ」


じ「........」



鼻を啜りながら
おとなしく椅子に腰掛ける



__...やばい。きまずい。




テ「...あのー、えー、....」


じ「....なに」


テ「...お前、俺のこと 好きっていうのは...そういう意味なわけ...?」






ああ

心臓が痛い。



さっきからずっと
涙も止まらない。




軽蔑されてもいい

もういい


こいつに気持ちを伝えて
それで終われるなら

それでいい。









じ「そういう意味だよ」









退職願って何書くのかな

あー、
親になんて言おうかな

転職って大変かな


もう


寺島に



会えないんだな









そんなことが頭を支配したころ

隣に座っていた寺島が立ち上がって

さっきみたいに俺の目の前に膝を着いた。



ゆっくり
ゆっくり

涙を拭われて


寺島は

少し困ったような

悩ましいような表情をしてて




覚悟を決めて目を見たままじっと待つ俺の目をしっかり見て


なんとも言えないように

ニヤけやがった。









テ「どうしよ、嫌じゃねえわ」








困り眉のまま口元を緩ませた寺島から発せられたその言葉を
すぐには理解出来なくて


顔を見たまま固まってしまう






....どういうことだ?


なに?


え?














テ「...なんか、お前が泣いてるの嫌だしさ」






頭にぽんっと手を置かれる






テ「俺も 嫌われてなくて意外だったけど


なんか


お前が泣いてるのが


俺のこと 好きだからってわかって


うれしいみたい。俺。」










今度はくしゃっと笑って


その笑顔で








俺は




また たくさんたくさん泣いた。











________












その日

あの後上司にたっぷりお説教をくらったのも

仕事終わりに寺島の家に行ったのも


素直に言葉を交わせたのも





「じん!」





俺のこと
名前で呼んで

優しく笑ってくれるお前が隣に居る今は



全部


良い思い出。