第11話

貴方への恋心は桜色3 リクエスト
1,276
2019/08/07 14:47

🐰


__________











____....?

どういうこと?

テオくんの好きな人が...

....俺?






かすちゃんの言葉が理解出来なくて
信じられなくて
言葉も出ずに
ただ固まってしまう。





か「テオくんね、
小さい頃からじんくんのことが好きで

でも
男ってことすごい気にしてて...
自分じゃじんくんを幸せに出来ないし
告白しても どんなに好きでも
未来なんてないし、辛いだけだって」




固まっている俺を見たまま
かすちゃんが笑う



か「わたしも 正直最初はそう思っちゃってたんだ。じんくんは女の子が好きだろうし
テオくんの恋は叶わないんだろうなぁって、

だから
わたしが代わりになろうって。



...でも
テオくんと付き合ってて
じんくんとも仲良くなって
2人のこと見てて...気付いちゃった」







切ない笑顔で

「じんくんの 気持ち」

って。






か「...でも、気付かないふりして
ふたりに嘘つきながら
わたしはテオくんを手放せなかった。

好きになってほしかった。

いつかわたしが幸せに出来るんじゃないかって思ってた。

何年も
何年も
じんくんの気持ちに気付いてたのに、
テオくんの気持ちもわかってたのに、

わたし
ずーっと黙ってたの。」







途中から泣くのを我慢しながら話していたかすちゃんの瞳から

ぼろぼろ涙が溢れ出す。


俺は
その声を聞きながらも
信じられない気持ちばかり生まれた。



ただ黙ってかすちゃんを見る俺にむかって
ゆっくりと
深く
頭を下げる






か「__.....今まで、ごめんなさい。」







頭を下げたままのかすちゃんを目の前に

やっと少し口が開く。






じ「.....だ、だって、だってかすちゃん、

テオくんいつもあんなに嬉しそうに....

いっつもかすちゃんの話しして、惚気けてて.........
嘘だよ、テオくんの好きな人は...

俺じゃ、ない」








ズボンを握りしめていた拳の上に
ぽたっと水滴が落ちて
自分が泣いていることに気付いた。








かすちゃんが頭を上げて
俺の目をしっかり捉える







か「....テオくんは、いつだって
じんくんへの気持ちを無くそうって必死だったよ、....
ちょっと気の毒なくらい


じんくんにわたしの惚気話しして
じんくんからよかったねって言ってもらうことで 諦めたかったんだと思う」





じ「......っ」





か「...今まで、本当にごめんなさい。

許して欲しいなんて言えない、でも、

今から
テオくんに会いに行って欲しい」











お願いします





そう

震える声で

また
深く頭を下げられた。










まだ
テオくんの好きな人が
自分だってことは信じられないけど

今こうやって一生懸命話すかすちゃんを見て

やっと少しずつ話しを飲み込んだ。






じ「.....ねえ、かすちゃん」





少し頭を上げて
濡れた目を拭って
俺を見る






じ「.....そんな話し、絶対辛いのに

俺に話すのも
テオくんを諦めるのも」





許せない
なんて
思わなかった。




好きな人を諦めて
自分が存在しないところでその人の幸せを願うことがどれだけ辛いか
俺はよく知ってる。










じ「正直、信じれてないけどさ...


.....ありがとう。


...話してくれて。」









かすちゃんが

たくさん涙を流したまま笑って


「...うん。じんくん、幸せになってね」


って
背中を押してくれて



俺は



テオくんのところへ走り出した。











____________












色んなことを思いながら

ぐちゃぐちゃの感情のまま

桜の木を横目に
無我夢中で学校まで走った。




わからなくて
切なくて
苦しくて
初めて期待して

テオくんに


会いたくて


会いたくて













校門を抜けると

まだ皆と楽しそうに笑うテオくんがすぐに視界に入る。




じ「____っテオくん!!!」







驚いた顔で少し目線が回って

すぐに俺に気付いてくれた。





テ「え、じんたん?」




そのまま走り寄って
皆の輪の中からテオくんの腕を引いて

そのまま
また走り出す。











____







驚いたままのテオくんを引っ張って

校舎裏まで来た。



息切れで上手く話せない俺の背中を
テオくんがさする。




テ「びっくりした~、...
...じんたんどうした?なんかあったの?」





地面を見たまま

声を出す









「...........テオくん、








好きだよ」










テ「____.....ぇ....?」








じ「好きだった
ずっとずっと好きだった

テオくんが
俺の初恋なんだ」











__思わず口からぼろぼろ気持ちが零れて

止まらなくて
早口でそう言い終えると









次の瞬間、







テオくんの胸に
勢いよく顔を持っていかれて






ぎゅ
って








大切なもののように




失ったものと再会した時のように






抱きしめられた。
















テ「____俺、夢見てる....?」











テオくんの背中に



ゆっくり腕をまわす











じ「__....んーん、現実だよ」








テ「....そ、っかぁ.....」












また

ぎゅっと力を込められた













テ「__.....じんたん....」










テオくんの声が


震える














テ「....だいすきだよ。」














後ろから
心地良い風が優しく吹いて



テオくんの体温を感じながら見た

桜が舞っていく景色は






切ないくらい





綺麗だった。





















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