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2019/07/15

第5話

嫌いだ

会社員パロ

🐴

________









毎日の通勤ラッシュに揉まれながら
今日も電車の中で縮まる朝。

ぎゅうぎゅうと人が詰め込まれた車内で
知ってる顔が視界に入った。


数人またいだ先の斜め前の知人は
少し小さい背のせいか、周りの大きなサラリーマンに押されて 窮屈そうに眉間にシワを寄せていた。



テ「(...ちっちぇーなぁ...)」


頭の中で少し馬鹿にしたような言葉を呟いて少しにやけてしまう。

...やっぱ、なんか気に入らないんだよなあ。



視線の先の知人は同じ会社で働く同期

入社した頃からなんだか気に入らなくて
あいつのことになると
むかむかイライラすることがよくあって
周りから犬猿の仲と言われているほど
気がそぐわないヤツだ。



...気に入らない理由は定かじゃないけど、

俺があいつに冷たくするように
あいつも俺に冷たくあたってくる。

あっちも俺の事が気に入らないんだろう。

根本的に気が合わないやつなんてどこにでもいるよな、仕方ない。








____



やっと駅について会社への道を歩く

人混みで少し疲れたようなチビが 俺の少し前を歩いていた。

...一緒に行くなんて冗談じゃない。


歩くスピードをいつもよりずっと遅くして
わざと距離を開けて歩いた。






______









__仕事中__





部署も同じでデスクも近いあいつ、いや、藤枝とは いつも些細な言い合いが定番で
仲が悪いと認知している周りも黙認している。


今日も小さなことで刺々しい言葉が飛んでいた。




テ「なあ藤枝。なんでこの書類でここにホッチキスとめるわけ?馬鹿?」


じ「なっ、そこにとめた方が読みやすいだろ!」


テ「お前の感覚で仕事解釈してんじゃねえよ」


じ「...ほんと嫌な言い方するよなお前。さすが性格悪いだけあるわ」


テ「性格悪いはお互い様だろ!」


じ「お前ほどじゃねえわ!」



上司「はーーい。二人共
お仕事してね~喧嘩はだめだよ~」



いつもの調子で慣れたように注意する上司が通り過ぎていく。

そこで口を噤んで
藤枝に大量のファイルをどさっと渡した。


じ「...なに?」


テ「どう見ても資料だろ。資料室に運ぶやつ」


じ「いや自分で行けよ。」


テ「お前も使ったやつだし俺急ぎの企画があんの。」


じ「......はーーー」




わざとらしく大きなため息をつきながら立ち上がる藤枝。

...実はなんだかんだいつも
最終的に折れるのは藤枝で

ちょっとの頼み事や質問は 小言を言いながらもすぐに聞いてくれたりする。


...あんな感じだけど、口論苦手なんだろうな



苦手とわかれば口論に持ち込んで丸め込むしかない。

性格悪いのはお互い様だもんな。






藤枝が大量のファイルを抱え込むと
俺が抱えたときと違って
顔がほとんど隠れてしまっていて 小さい体が少しふらつく。


は~チビは大変だなあ。





でも





「ゎ」と短く声を出してよろけた藤枝の肩を
助けるように思わず支えてしまった。


倒れそうだった体が華奢な肩から俺の体にすっぽり収まる。


瞬間

鼻を掠めた甘いいい香りに驚いた。

...なんでこんな女子みたいな匂いすんだよ。むかつくな。



じ「な、なんだよ、なに助けてんだよ」


あわてたようにまた悪態をつかれる。
まあそりゃそうか。
嫌いなやつに抱きとめられたらしんどいわ。


テ「お前がチビで頼りにならねえからだよ」


じ「....わ、悪かったな。チビで....。」








...ん?なんかいつもと調子が....


ていうかなんで顔伏せてんだ?こいつ。




テ「なに言い負けてんだよ、こっち見て言え」




藤枝から体を離して向き合わせると

ファイルでほとんど隠れた顔は
少し見えている耳だけでわかるほど

真っ赤だった。






テ「...え、なに、なんで赤くなってんの?」


じ「! あっ赤くねえよ!」


テ「もしかして俺が抱きとめて緊張したわけ?」


じ「っち、ちがッ」


テ「冗談きつ、やめろよきもちわるいw」


じ「......っ」






...........あれ?



言い返してこないな。


ん?まってなんでそんな顔してんの?







藤枝が
酷く悲しそうに
我慢したような表情をして俯いて


初めて見るその顔に

心がチクッと痛んだ気がした。
















→続