あたしはひたすら教室に向かって走った
彼は今クラスで接客中だから
きっと教室にいるはず
早く想いを伝えたい
その一心で走っていた______
白布:あなた?
あなた:え………?
階段を降りていると
突然後ろから手首を掴まれた
振り返るとそこにいたのは____あたしの好きな人
あなた:し,白布くん……!?
白布:どうしたんだよ……そんなに慌てて
あなた:し,白布くんこそ……クラスはいいの?
白布:俺は……まぁ……人探し
あなた:………?人探し………?
白布くんは誰かを探していたの?
そしたらあたし____邪魔しちゃ駄目だよね?
白布:あなたは何してんの?
あなた:あ,あたしも……人探し……?
白布:誰?
あなた:え………?
白布:誰を探してたの?
そう聞いてくる白布くんは
いつになく真剣な顔をしていた
あなた:え……と……あたしは……別に……それより白布くん,その人の事探しに行った方がいいんじゃない……?
白布:俺は大丈夫。もう見つけたから
あなた:え………?
もう見つけた______?
白布:俺が探してたのはあなただよ
あなた:え………?
白布:あなたは?誰を探してたの?
あなた:……あたしも……白布くんを探してた
白布くんは少し安心したように微笑んだ
ちゃんと______伝えなきゃ
あなた:あ,あのね……!
白布:………?
あなた:ずっと………避けててごめんなさい……
白布:え………?
あなた:あたし……白布くんに優しくされたり……他の子と違う扱いされると……自分は特別なんじゃないかって少し期待しちゃって……
白布:………!
あなた:全然そんなんじゃないって考えれば分かることなのにそれでもやっぱり期待しちゃって……それで傷付くのが嫌で……白布くんを避けてたの
期待して傷つくのは______嫌だった
あなた:でもあたし………白布くんと仲良く出来て嬉しかった
白布:え?
あなた:特別な感情がないってわかってるけど……それでも白布くんと仲良くできて嬉しかった
白布:………!
あなた:一度フラれてるし未練がましいって思われるかもしれないけど……でもあたしはッ………!
想いを伝えようとした瞬間
______白布くんに抱き締められた
白布:……俺,何とも思ってねぇ奴に優しくなんて出来ねぇよ
あなた:え………?
白布:何とも思ってねぇ奴に自分から関わりにいかねぇし……避けられて辛いとも思わねぇ
" 他の男と一緒にいるのが嫌だなんて思わねぇよ "
白布くんはあたしを抱きしめながらそう言った
白布:あなたの笑顔が好きだった
あなた:え………?
白布:素直なところも人を思いやるところも引っ込み思案なところも……そんなあなたを見て" 守りたい "って思ったんだ
あなた:………!
白布:あなたの事一度フってるから,こんなの都合良すぎって思われるかもしれない。でも俺は____
『 もう自分の気持ちを誤魔化せない。』
白布:あなた
あなた:………?
『 好きです。俺と____付き合って下さい。』
あなた:………本当に………?
白布:ほんと
あなた:嘘じゃない………?
白布:嘘つくわけねぇだろ
あなた:あたしが……白布くんの隣に立ってもいいの……?
白布:俺の隣に立つのは……これからはあなたがいい
初めて好きになった相手には彼女がいた
あたしは想いを伝えて一度フラれてしまった
けど変わらずに想い続けたこの恋
やっと______報われるの?
あなた:ッよろしくお願いします……!
白布:ッ!!絶対……絶対に離してやらねぇから
" だから______覚悟しとけよ "
白布くんはそう言って
______あたしに唇を重ねた。
fin.
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。