白布 side
天童:どうも最近調子出ないよネ〜
白布:………すみません
天童:賢二郎がこうなるのは……恋のお悩みだネ?
白布:え?
学園祭前日の午後練
俺は未だに調子が戻らなかった
あの二人の事を考えると
全然プレーに集中が出来なかった
白布:別に………違いますよ
天童:あれ?まだ自分の気持ちに気付いてない感じ?
白布:え?
川西:そうなんですよ。遅すぎません?この鈍感王子
" 鈍感王子 "
太一がそう言うと天童さんは大笑いした
白布:やめろよその" 鈍感王子 "っていうやつ
川西:え?だって本当の事じゃねぇか
白布:俺は鈍感じゃねぇし王子でもねぇよ
天童:まぁ王子であるかどうかは置いといて,鈍感は認めた方がいいかもネ
白布:え?
天童さんまでもがそう言った
何で____みんなしてそう言うんだ
天童:賢二郎
白布:?
天童:これ以上自分の気持ちに気付くのが遅くなったらきっと賢二郎も" あなたちゃんも "後悔する事になりそうだからもう言っちゃうね
白布:え………?
『 賢二郎はあなたちゃんに恋してるよ 』
白布:え………?
天童:もう間違いなく,恋してる
白布:そ,そんなこと………
天童:じゃあ賢二郎がプレーに集中出来ない理由は何?
白布:え………?
天童:あなたちゃん絡みじゃないの?
あなたに避けられ始めてから
あなたの笑顔を見れなくなってから
あなたが____
陸斗と付き合ってるかもしれないと思い始めてから
俺の頭の中はあなたで占領されていた
天童:思い当たる節,あるんだネ?
白布:………!
天童:前もそれっぽい事言ったんだけどさ
『 男子が女子を守りたいと思うのは
" 好き "以外有り得ないんだヨ。』
天童:賢二郎は前,あなたちゃんを守りたいって言ったヨネ?
白布:………はい
天童:その気持ちに変化はある?
白布:………ありません
天童:そしたらさ,いい加減賢二郎はあなたちゃんの事好きなんだって認めたら?
白布:え…………
天童:じゃないと……太一がフラれた意味が無いじゃない
俺は太一の方を見た
太一は真剣な顔で____俺の事を見ていた
白布:けどあなたには今彼氏が………
川西:お前はそれでいいのかよ
白布:え?
川西:お前は少なくともあなたに何の行動も起こしてねぇ
白布:ッ…………!
川西:好きじゃねぇ好きじゃねぇって意地張ってねぇで,少しはかっこいい姿見せてやれよ
これが本当に恋なら
俺は都合のいいようにあなたを動かす事になる
一度フッた相手を好きになるなんて
そんなの都合良すぎんだろ
それに陸斗とあなたが付き合ってて
それがあなたにとっての幸せなら
俺は______もう辛い思いさせられねぇよ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!