あなた:あ……シャンプー切らしちゃった……
渚優:買いに行く?
あなた:うん!でも一人で平気だよ!
渚優:ほんと?暗いから気を付けなよ?
あなた:わかった!行ってきます!
夜,シャンプーを切らしてしまったあたしは
寮を出て近くのドラッグストアまで買い物に行った
あなた:あ,あったあったこのシャンプー!
お気に入りの匂いのシャンプーがあった
あたしはそのシャンプーを手に取り籠に入れた
白布:あれ,あなた?
あなた:……!白布くん……!
突然呼ばれた名前
振り返るとそこには白布くんが立っていた
白布:偶然だな。買い物?
あなた:うん!シャンプー切らしちゃって!
白布:え,めっちゃ偶然。俺もなんだよね
あなた:白布くんも……!?
白布くんもシャンプーを切らして買いに来たらしい
白布くんはあたしの籠に入っているシャンプーを見た
白布:このシャンプー使ってたんだ
あなた:え?
白布:いや,いつもいい匂いするなって思ってたから
あなた:え……!?
サラッと凄いことを言った白布くん
でも多分____無意識だ
あなた:このシャンプーいい香りだよね?
白布:うん。その香りすげぇ好き
あなた:あたしもこの匂いすごく好きで昔からこのシャンプーなんだ……!
" あなたの香りだな "
そう笑う白布くんにまたドキドキしてしまった___
あなた:え,雨……!?
出た時は降っていなかった雨
しかしお店を出たら土砂降りだった
白布:傘持ってきてねぇの?
あなた:う,うん……降ると思わなくて
白布:明らかに降りそうな空してただろ( 笑 )
あなた:うぅ………
傘を買うかビニールを被るか……?
もう諦めてダッシュで帰るか……?
どちにしろ白布くんとは一緒に帰れない
残念だけど____
あなた:あ,あたし傘買ってくるから白布くん先に……
白布:ほら
あなた:え____?
白布くんは持っていた傘を広げた
白布:何してんの?早く入りなよ
あなた:で,でも……!
白布:いいじゃん。どうせ帰る所一緒なんだしわざわざ買う必要無いだろ
" 早く入りな "
白布くんはそう微笑んであたしを待ってくれていた
白布:にしても最近毎日雨だよな
あなた:ね!テンション上がらないな〜…
白布:わかるかも
白布くんの傘に入れてもらって二人で帰る
所謂____相合傘
あなた:本当によかったの……?
白布:何が?
あなた:え……?か,傘……
白布:何で駄目だと思うの?
あなた:え……だって白布くん彼女いるし……
彼女居るから尚更見られたらまずいのではないか
そう思い告げると白布くんは" あぁ "と言った
白布:別に" クラスメイト "を傘に入れてあげてるだけでやましい事は何も無いじゃん?
" クラスメイト "
白布くんにとってあたしは唯のクラスメイト
そんなこと分かっていたけど
______胸が痛かった
あなた:た,確かにそうだね……!
白布:だろ?だから気にしなくて良いよ
白布くんは微笑みながらそう言った
白布くんは優しい____ただそれだけなのに
白布:ほら,もっとこっち寄りなよ
あなた:え____?
白布くんはあたしの肩をグイッと自分に引き寄せた
白布:ほら,肩濡れてんじゃん
あなた:で,でも大丈夫だよ……!
白布:駄目。ちゃんと中入ってて
これ以上近付いたら____バレちゃうよ
顔が赤い事______それと
ドキドキしちゃってる事______
白布:じゃあまた明日な
あなた:う,うん……!本当にありがとう……!
白布:いーえ。ちゃんと風呂入って温まれよ?
あなた:うん……!おやすみなさい……!
女子棟まで送ってくれた白布くんを見送った
去っていく背中から目が離せなかった
あなた:諦めなきゃ……いけないのにッ………
あたし____白布くんが好き
降り続ける雨と共に涙を流しながら
あたしは初恋を自覚した____
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。