コンコンッ
あなた:?はーい
川西:………よ
あなた:………!太一くん………?
夜,小窓を叩く音がして窓を開けると太一くんがいた
渚優には全部話してあるから行く事を反対されたけど
" 二人で話がしたい "と言われたので
あたしは渚優の反対を押し切って部屋を出た
川西:悪い急に
あなた:う,ううん……
川西:安藤,心配してるから早く戻らねぇとな
あたし達は寮の入口のスペースまで来ていた
多分……いつでも助けが呼べるようにと
太一くんなりの配慮だったのかもしれない
あなた:………どうしたの……?
川西:えっと……その……
『 この前はごめん。』
太一くんはそう言ってあたしに頭を下げた
川西:俺……あなたの答えに反発して……あなたにあんなことしちまった……
あなた:え………?
川西:……わかってたんだ。あなたはそういう目で俺を見てないって。わかってたけど____
" 現実を突きつけられたみたいで
俺も我を失ってた "
太一くんは頭を下げたままそう言った
川西:俺がどんなに思ってたって,答えを出すのはあなた自身だからどうにもならねぇのに……ほんとにごめん
あなた:太一くん………
そこまでしてあたしの事を_____?
あなた:太一くん,顔上げて?
川西:ッ………
あなた:確かに太一くんにされた事,びっくりはしたけど……でも怒ってないよ?
川西:え……?
あなた:あたしこそ……全然気付いてあげられなくてごめんね
" 太一くんの気持ちに応えられなくてごめんね "
あたしがそう謝ると
太一くんは眉を提げて微笑んだ
川西:ほんとそういうとこ
あなた:え………?
川西:お前の鈍いところも優しいところもちゃんと謝れるところも
" 俺は全部全部好きだったよ______ "
川西:これからも……幼なじみとして仲良くしてくれるか?
あなた:うん!もちろんだよ……!
川西:よかった
太一くんはいつも通り笑ってくれた
『 何してんの? 』
突然誰かに手を引かれた
そのまま____抱き締められた
川西:………んだよ" 白布 "
白布:………
あたしの事を守るようにして抱き締めたのは
白布くんだった
白布:あんな事があったのに二人きりでいるからだろうが
あなた:え………?
白布くんも心配してくれたの____?
川西:生憎,今ちゃんと謝って仲直りしたとこなんで
白布:え?
あなた:白布くん,もう大丈夫だよ
あたしは白布くんに向けて微笑んだ
白布くんはあたしの顔を見て嘘じゃないと判断して
抱き締めていた腕をゆっくりと解いた
白布:んだよ紛らわしい
川西:お前のただの早とちりだろ
白布:は?
二人の間には火花が飛び交っていた
川西:でも____俺諦めたわけじゃねぇから
あなた:え……?
川西:早く正々堂々と勝負しようぜ。だから____
『 早く自分の気持ちに気付けよ鈍感王子。』
太一くんは白布くんにそう言うと
その場を去っていってしまった
白布:……何なんだよ彼奴
あなた:" 鈍感王子 "だって( 笑 )
白布:あなたお前馬鹿にしてんだろ?
あなた:してないよ?( 笑 )
白布:嘘だろ顔が笑ってる
白布くんはそう言って笑ってくれた
" 早く自分の気持ちに気付けよ "
白布くんに向けられたこの言葉は
どういう意味だったんだろう____?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。