《ただいま》
その言葉の意味、
「え!?蕾!?なんでそんな泣きそうな顔してんの!?」
私のことを心配する涼太。
自分も泣きそうな顔をしていることに気がついてないのだろうか。
遅れて春と透も玄関へやってきた。
そこで私は2人のとんでもない言葉を聞く。
「涼太、おかえり」
「…春、透…ただいま」
「…え?」
思わず言葉が漏れる。
溢れかけていた涙も引っ込んだ。
状況が読み込めない。
え?
「え、ちょっと待って、何これ、なんなのこの状況」
私が本気でわからないという顔をしているのを見て、透と春は声をあげて笑った。
「え、2人とも涼太の事…え?」
「蕾、今日何日かわかる?」
「え…今日」
今日…4月1日…??
……あ。
透が声を上げる。
「エイプリルフール!!」
意味がわからない、信じられない。
2人とも演技うますぎ、なんなんの。
じゃあ、あれ?
「涼太の事覚えてなかったのも…」
「うん、演技」
……。
「つぼm(((殴」
涼太が私の名前を呼び終わる前に涼太に腹パンが綺麗に入った。
「3人とも覚悟はできてるんだよね?」
今日は祭りかな。
え?なんの祭りかって?
そんなの決まってるでしょ。
血祭りだよ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!