第4話
4話
後日、3人の予定があった日。
話をするために、私の家に集まってもらっていた。
「ごめんね、この前は」
涼太は笑って言った。
「全然大丈夫だって、急に飛び出すからちょっとびっくりしたけど」
春の方を見ると春も気づいて微笑んだ。
「話ってなんだったの?」
「うん、」
私は2人に何か引っかかるものがあった。
けど、その正体はわからないまま、私は口を開く。
「ねえ、」
私の声に2人の視線がまっすぐこちらをむく。
「2人はさ、大切な人のために泣ける?」
2人は何も言わない。
私は顔を見ずに話を進めた。
「泣ける気がしないの。別に、泣きたいわけじゃない。…でも、泣くことができないという事実が、その大切な人との思い出を全否定しているような気がして…その人の存在をなかったものにしているような気がして、自分が嫌になった。」
自分で自分を笑ってやりたかった。
嘲笑ってやりたかった。
でも、そのやり方さえもわからなかった。
「…なんてことを、最近思ってる。」
《笑ってよ》
そう言いたかった、でも玄関の扉の開く音にそんな思考が止まった。
この音を、私は知っている。
ずっと待ってた
もう聞けないと思ってた
叶うはずないって、会えるはずないって
そう…思ってた。
私は2人を置いて玄関へ向かう。
その間にも心臓は張り裂けそうなほど鳴っている。
そこに、彼は立っていた。
「蕾…ただいま。」
そいつは、【涼太】は、涼太は、
笑って言った。