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2021/11/18

第12話

家を飛び出しても、

行くあてがないことに…気づいた。






そういえば、

あみか………友達、おらへんやん……






頼る友達なんて、1人もおらへん。

とにかく勉強、勉強、勉強って…
友達を作ったり、
遊んだりする暇もなく、
勉強のことしか考えてこなかった。
あみか
あみか
どこ行こ……。

考えても、
どこも思いつかない。

唯一、
学校と家以外であみかが立ち寄るところ…





あみか
あみか
あ…。図書館………





もう、そこしか思い浮かばなくて。

自然と足が進み、
閉館時間間際の図書館に入った。

閉館時間が迫っている館内は、
それを知らせる音楽が優しく鳴り響いていて…
帰る人達の流れに逆らうように、
中に入っていった。
書架が背丈より遥か高い本棚にぎっしり詰まり、
何列にも並んでいる。



淀んだ紙の匂い。

高い天井。



周りには人の気配がなく、
本に囲まれた静かすぎるこの空間が、
感情を一気に高ぶらせて、
涙を込み上げさせる…

別に誰もおらへんし…

流れる涙を隠す必要もないこの空間で、


ただ、泣いた。
あみか
あみか
っう、うぅっ……っく、

一度流れ出すと、
止め方がわからなくて、
自分の泣き声がどんどん大きくなっていく。

苦しい……















苦しい…………






 






































誰か………助けて……………………






































































enn
enn
え?迷子?
あみか
あみか
っ!!
ふと、自分のものじゃない声がして、
うずくまって泣いていた顔を、
ビックリして上げると、

そこには、綺麗な女の人が1人立っていた。
enn
enn
迷子にしては大きな子やな。(笑)
あみかを見て、
クスクスと笑うその女の人に見惚れてしまう…
って、
いや、あみかめっちゃ泣いてたわ!!

恥ずかしいっ……

うずくまって両腕で抱えた膝にまた、顔を埋める。
enn
enn
どないしたん?
あみか
あみか
………………………。
enn
enn
もうすぐ閉館やで?
あみか
あみか
………………………。
enn
enn
う~ん……
あみか
あみか
ほっといて下さい…………
enn
enn
あ。そう。わかった。
あみか
あみか
∑えっ!!?行っちゃうんですか!?
enn
enn
どっちやねん。(笑)
丈の短い、
身体のラインがわかるタイトな黒いワンピースに、
高いピンヒールの靴。

あみかとは全く違う大人の色気の漂う女の人……

でも、
あみかの隣に並ぶようにしゃがみこんで、
あみかを気遣うように顔を覗き込んでくるその顔は
とてつもなく優しく見えた。

だから、かな…?

逆に全く知らへん人やから、
話しやすかったのかもしれへん。
enn
enn
何で泣いてんの?
あみか
あみか
あみか…………いらない子なんです…
気づいたら、
今まで誰にも吐いたことのなかった弱音を、
ポツリと……吐いていた。
enn
enn
いらない子………ねぇ。
あみか
あみか
お兄ちゃんおるんですけど……
あみかと違って、めっちゃ頭よくて
運動神経もよくて、とにかく何でも
出来て…。兄妹なのに、あみかとは
全然違ってて…
enn
enn
うん。
あみか
あみか
お兄ちゃんは出来るのに、
何であみかは出来ないんだ!
お兄ちゃんを見習いなさい!
って、毎日怒られて………だから、
お兄ちゃんみたいになろう!って
努力してるけど、あみかバカだから
全然ダメで…
enn
enn
それで?
あみか
あみか
さっき、お母さんに言われたんです。
『人並みになることが、アナタの永遠の課題ね。』って。
enn
enn
…………………。
あみか
あみか
お兄ちゃんとは比べものにならないから、今度は他人と比べられちゃって…
情けないですよね……
自分で話してて、
なんか……虚しくなってきた。

ははっ、て、
から笑いすると、
女の人が頭をよしよしと撫でてくれる。
enn
enn
笑うとこちゃうやろ?
無理して笑わなくてえぇから。
あみか
あみか
っ、
その手が、声が、
あまりに優しくて…
止まっていたはずの涙が、
また、
ポロポロとこぼれ落ちていく。
enn
enn
なぁ、
あみか
あみか
っ、?
enn
enn
アンタ、お兄ちゃんになりたいんか?
あみか
あみか
え…?
enn
enn
そんなに頑張って、
お兄ちゃんになりたいんか?
って、聞いてんの。
あみか
あみか
いや、別にお兄ちゃんになりたいわけじゃなくて…
enn
enn
そやろ?アンタは、アンタや。
あみかは………あみか…
enn
enn
人に基準なんてないんやで?
あみか
あみか
基準…
enn
enn
親が、アンタが、勝手にお兄ちゃんに基準を合わせて比べるから、劣ってるだの、出来ひんだの思うんやろ?
あみか
あみか
……………………。
enn
enn
他人と比べるからツラくなんの。
アンタは劣ってもないし、
出来ひんわけでもない。
基準はアンタや。アンタが基準。
アンタはアンタなの!
女の人の腕が首に回されて、
グッと引き寄せられた。
力強くて、
でも、
やっぱり優しくて…………………温かい。
enn
enn
人間やから、比べて優劣つけたがんのは仕方ないことや。それにな、今すぐにアンタの今の環境が、ガラリと変わることもない。せやから、アンタが変わったらえぇんよ。アンタが周りに負けへんくらい強くなれや。
あみか
あみか
っう……
enn
enn
今の自分に満足してへんのやろ?
あみか
あみか
ん、うんっ……
enn
enn
それなら、周りを気にするより、
自分と向き合うんや。周りを
どんなに妬んで、悲しんでも、
強がったところで何も変わらへん。
自分を変えることでしか、
アンタの人生、変えられへんで?
どうして………

何も知らない、この女の人が…




あみかが欲しかった、

言葉を、

優しさを、

与えてくれるんだろう……





































“アンタはアンタなの!”






そう。あみかは、あみかやねん。






ずっと、思ってた。

あみかに“お兄ちゃん”を求めるお母さんに、

“あみかはあみかなのに!”って。

ずっと、心の中で叫んでた。




でも……




それを言えへんかった、
……あみかが悪いんやけど。

だって……

怖かったんよ…。
世界でたった1人のお母さん、
たった1人のお父さんに、
嫌われて、
見捨てられるのが。


あみか
あみか
っ、うわぁああ…んっ……


でも……

もう、変わりたい。
ずっと、きっかけを探してた。
























今が……………その“きっかけ”なのかもしれへんな…






























子どもみたいに、
女の人にしがみついて、
声を上げて泣くあみかを、

女の人は、
ずっと背中をさすって、
側にいてくれた…………









































ヒーローみたい。



































突然、あみかの前に現れて、


あみかの心を…………救ってくれた。





















優しい、ヒーロー。















































enn
enn
1人で帰れる?
あみか
あみか
…ん。大丈夫です。
ありがとうございます。
enn
enn
アタシは、服がアンタの涙と鼻水で
べちょべちょで、
あんま大丈夫やないけどな。(笑)
あみか
あみか
も、もう!!///言わんといて下さい!
ご、ごめんなさい…
enn
enn
えぇよ。別に。(笑)
イシシッ、と笑うそのおちゃめな笑顔に、
つられて笑う。
enn
enn
っくち…!
あみか
あみか
あ……
enn
enn
外は冷えるな。
閉館時間になった図書館を出ると、
すっかり日が落ち、
空は真っ暗で、
日中は暖かいのに、
夜は冷える……そんな季節の気候に、
女の人が1つ、くしゃみをした。

寒そうな格好やもん。
enn
enn
音羽、アイツどこ行ったんやろ…
もぅ…。
ぶつぶつ呟く女の人に歩み寄り、
自分が着ていた薄手の上着を、
女の人の肩からかけてあげた。
enn
enn
え…?
あみか
あみか
薄いから、あんまり防寒にはならへんと思うけど…
enn
enn
いや、いいよ。いらん。だって…
あみか
あみか
明日!
enn
enn
っ、
あみか
あみか
明日、洗濯して持って来て下さい!
enn
enn
明日って…
あみか
あみか
明日、また、ここで待ってるんで。
enn
enn
待つっていっても、
あみか
あみか
明日、同じ時間、同じ場所で、
待ってるんで……持ってきて下さい!
絶対ですよ?
そう言って、
自然と浮かんだ笑顔で、
女の人を見つめると、
女の人は目を丸くして、
でも、
少し照れたように笑って、
あみかから視線を外した。


少し……強引だったかな?


でも、また会いたい。
会って話がしたい。
色んなこと話したい。



アナタがどんな人だっていいから。














抱き締められた時に……………鉄の、血の匂いがした。

濃い、匂い。

首筋に付着していた血は、
この人のものじゃないようだったけど…




















そんなこと、どうだっていい。

それが何を意味するのか、

そんなことも、どうだっていい。

アナタがどんな人でも構わない。







あみかのヒーローに変わりないんだから。








enn
enn
じゃあ………また、明日、な。
あみか
あみか
あ!名前!
名前だけ教えてもらえますか?
enn
enn
あー。『えん』やで。
あみか
あみか
えん……ちゃん?
enn
enn
そ。enn。
あみか
あみか
ennちゃん!
enn
enn
ん。(笑)じゃあね。
あみか
あみか
はい!また、明日!ennちゃん!!



































これが、

あみかと、ennちゃんとの、大切な出逢い。













































🍎ヒーローennちゃんと、
 天使あみかの出逢い編でした( ̄∇ ̄)