彼女が死んでから俺の家に花と手紙が届いた。
なんだか可愛らしい便箋とアオガンピだった。
きっと亡くなった彼女からだろう。
彼女の墓石が立てられた霊園は星がよく見えるところだった。
彼女の両親がここがいいだろうと選んだらしい。
彼女は今どこで何をしているのだろう。
ちゃんと星になれただろうか。
今日は彼女の墓に行く。
前までは毎日通っていたが、彼女のからの手紙にちゃんと自分のすべき事をしろとあまりにも的確すぎる事が書かれていた。
それもあって、就職活動やなんやらに手を付けて最近では彼女の墓参りに行けていない。
だから、あの日のように花を持っていく。
ご機嫌取りだと笑われるだろうか。
花を取り替えて、墓を掃除する。
まだ新しく軽く拭くだけしかやることが無い。
「久しぶりだな。寂しくなかったか?」
勿論、返事が返ってくるはずもない。
でも、彼女の言葉を予測して話を進める。
「アオガンピまだ生きてるぞ。
なんでかな。随分と長生きしやがる。」
「お前の星まだ見つけてない。
俺の予想だとアオガンピにお前が乗り移ったんだと思うけど。」
「……違うか。」
風が吹く。さっき添え直した花がふわふわと笑う。まるで彼女のように。
「……そうだよ……」
どこかで聞こえた気がした。
見渡しても誰もいない。きっと彼女だ。
声だけじゃなくせっかくなら姿ごと見せて欲しかった。
別に幽霊だなんてビビりはしないのに。
「ふっ……そうか。」
また風が吹く。花が揺れる。今度はバイバイと言うようだった。
「おう。また来るよ。」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。