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2020/11/17

第2話

きらきら星
まだ小さかった俺は彼女が病院に運ばれて1年が経って、ようやっと状況が読めて親と見舞いと花を持って彼女の病室に訪れた。
点滴に繋がれた手をドラマ以外で見たのは初めてだった。
「かーくん!久しぶりっ!」
俺は1年ぶりに彼女の姿を見てホッとした。
胸の内から込み上げる何かを喉のところでどうにかして押さえつけて彼女のベットに近づいた。
「わぁっ、かわいいお花!かーくんが選んでくれたの?」
「そうだよ。ほらこの花。星みたいなのを選んだんだ。」
花束に選んだのは青のディフィニウムと桔梗、ブルースター、ペンタスという花だった。
それを花屋のおばちゃんが上手く束ねて綺麗に包んでくれた。
「ふふふっ。これでお昼も星が見れるねっ!」
綺麗に束ねられた花束をぎゅっと抱き締めながら言った。
彼女は六月の夏に似合わず、部屋の中でも帽子を被っていた。
その理由は小一の俺でも何となく分かった。というより、病室に向かう前に看護師に聞いた親から彼女が薬の副作用で髪が抜けてしまった事、帽子を被っていることに触れてはいけないとキツく、耳にタコができるほど言われていた。
勿論言うはずがない。彼女が傷つくのが怖かった。
今の彼女はとても脆く、儚い物でちょっとした事でも病状が悪化してしまうと恐れていたからだ。
「私ね、頭の中にね、お星様があるんだって。」
戸惑った。
当時の俺は星が頭の中にあるのだと本気で思っていた。
後から詳しく話を聞いて、彼女が「星細胞系腫瘍」であることが分かった。
腫瘍細胞が、光を放つキラキラ星のように見える事からそう言われるそうだ。
もちろんそんな病名、症状はあの頃の俺には全くわからなかった。
俺は毎日のように病室に通った。
それは彼女にただ会いたいという純粋な思いもあったが、いつの間にか居なくなってしまうのではないかと怖かったからでもあった。
彼女の状態は日に日に良くなったように見えた。
案の定、病状は回復していき、退院し学校に登校した時期もあった。
登校初日はみんなに囲まれてそれをも楽しんでいるようだった。
俺には夢のような時間だった。
今まで病室でずっと居た彼女が横で勉強したり、遊んだりしている。
日常という当たり前の時間が俺と彼女にとっては非日常だった。