第3話

グラス博士の人事ファイル
435
2023/09/03 10:57
クレフ
クレフ
……やっと着いた。
あなた
うわ、ひ、広いですね。
僕とクレフ兄さんが、「ウチ」に着いたのは、その日の午後だった。
そのあとクレフ兄さんは、僕の怪我したところにしっかり手当しながら、「ウチ」に着いて教えてくれた。
ここはSCP財団といって、さっきのワニくん……「不死身の爬虫類」くんみたいに、自然法則に反した生物・物品・現象とかを収容、捕獲、……あとなんだっけ?まあ、とりあえず世界の平和を保ってる財団らしい。
だから僕はこれから、ここで世界の平和を守るお手伝いをできるってわけだ。
ちなみに、ワニくんは丁度外に出て暴れ回ってたらしい。さっきちゃんと、自分の部屋に戻ってご飯を食べたと聞いたので、心底安心した(何故か申し訳なさそうにしてたらしい)。
そうして手当てをしてもらって、クレフ兄さんは僕用の部屋に案内してくれた。
クレフ
クレフ
1人部屋っつっても、
狭くて質素な部屋だけどな。
そう言って、クレフ兄さんは頭を掻く。
でも、こんなに大きなベット、
今まで見たことない……
あなた
ううん、全然!ありがとう!
そう伝えて、ベットにダイブする僕。
あなた
うゎぁ、ふ、ふかふか……
そんな僕を見て、クレフ兄さんは、
クレフ
クレフ
可愛いやつだな。
そう言って笑った。
あなた
あ………へへへ。
僕が二ヘラっとすると、
兄さんは「あっ」とだけ呟いた。
クレフ
クレフ
やべえやべえ、
グラスのやつに呼び出されてたんだ。
あなた
グラス?
クレフ
クレフ
ああ、お前を連れてこいってな。
あなた
そうなんだ?
クレフ
クレフ
ああ、行くぞあなた!
そう言って、執事さんみたいにドアを開けてくれたクレフ兄さん。
あなた
ありがとう。
そう伝えて、外に出る。
クレフ
クレフ
グラスのとこまで俺が案内するから、
ちゃんと着いてくるんだぞ。
あなた
うん
僕は、兄さんの後について、ゆっくりと歩き出した。















相談室的なところ
着いたところは、小さなドアの前。
兄さんがコンコンとドアをノックする。
僕は少し、緊張していた。
グラス博士………一体どんな人なんだろう。
???
どうぞ、入ってください。
奥から、男性の声が聞こえる。
ガチャ
クレフ兄さんが、先に奥に入っていく。
それに釣られて僕も、部屋の奥へと進んでいく。
クレフ
クレフ
……コイツがあなただ。
クレフ兄さんが、僕の肩を抱きながら言った。
グラス博士
グラス博士
……こんにちは、あなたくん。
僕はサイモン・グラス。
グラス博士
グラス博士
ここで、職員や人型SCPのカウンセリングをしているものです。
グラス博士
グラス博士
よろしく。
そう言うと彼…グラス博士は目を細めて、にこりと笑った。
あなた
……よろしくお願いします!
グラス博士
グラス博士
じゃあ、早速カウンセリングをするから、そこの椅子に座って。
あなた
…………え?
グラス博士
グラス博士
ん?
あなた
あ、僕がカウンセリング受けるんですか?
グラス博士
グラス博士
そうじゃなかったら誰が受けるの!?
あなた
え、クレフ兄さんとか?
クレフ
クレフ
ふ……あはははは!
突然、会話を聞いていた
クレフ兄さんが笑い出した。
クレフ
クレフ
ほんっと面白いなぁ、あなた!
グラス博士
グラス博士
ふふ……確かにそうですねぇ。
それに釣られて、グラス博士も笑い出す。
あなた
???
僕は、頭の中が?でいっぱいになってしまった。
グラス博士
グラス博士
いやぁ、あなたが682に攻撃されたと聞いて、心配していたのですが……ふふっ
あなた
なんで笑うんですか?え????
グラス博士
グラス博士
いや、いいんです。とりあえず座って。
あなた
ああ、はい
僕が座ったのを見て、クレフ兄さんはドアを開けて
クレフ
クレフ
じゃあ俺は仕事があるからな、
あとは頼んだぜ、グラッシー。
手を振りながら部屋を出ていってしまった。
グラス博士
グラス博士
じゃあ、早速始めるね。
あなた
はい……!
グラス博士
グラス博士
そう緊張しなくて大丈夫だよ。
グラス博士
グラス博士
まずは君のプロフィールからだね。
グラス博士
グラス博士
えっと、お名前は?
あなた
一条 あなたです。
グラス博士
グラス博士
ほほう、一条あなたくん……。
じゃああなたくん、誕生日は?
あなた
2月15日です。
グラス博士
グラス博士
早生まれなんだね、身長は?
あなた
170cmくらいです。
グラス博士
グラス博士
結構高いんだね、じゃあ血液型は?
あなた
AB型です。
グラス博士
グラス博士
どこの国から来たの?
あなた
日本です。留学できました。
グラス博士
グラス博士
留学……ってことはまだ学生か。
それにしても、英語が上手だね。
あなた
まあ、得意教科なので……
グラス博士
グラス博士
ああ、年を聞き忘れていたよ、いくつ?
あなた
19です。
グラス博士
グラス博士
若いねぇ、性別は男で合ってる?
あなた
はい
グラス博士
グラス博士
よし、じゃあこれで職員プロフィールはOKだね。
あなた
職員プロフィール……!
グラス博士
グラス博士
ここに来てしまった以上、何が起こるかわからないからね、こうやって記録しておかないと。
あなた
ほほう……
グラス博士
グラス博士
あと、本人確認の時に必要だからね。
あなた
そうなんですか。
グラス博士
グラス博士
じゃあ、本題に入るけど
グラス博士
グラス博士
気分の方はどうだい?
足に大怪我をしたって聞いたけど。
あなた
はい、クレフ兄さんが、
よく効く塗り薬を塗ってくれたので、
痛みはないです。
グラス博士
グラス博士
あれ?おかしいなぁ、
あなた
どうしたんですか?
グラス博士
グラス博士
あなたくんって確か、記憶処理が効かなくてここに来たんだよね?
あなた
はい。
グラス博士
グラス博士
クレフから、薬が効かない体質って
聞いたけど……?
あなた
ああ、えっとそれは、
話すと長くなるんですけど……
グラス博士
グラス博士
いいよ、聞かせて?
あなた
僕、昔は体が弱くて……10歳まで病院生活で、いろんなお薬……特に睡眠薬とか麻酔とか、その他諸々抗生物質系をいっぱい摂取してたので……気づいたらあまり効かなくなってて……
グラス博士
グラス博士
うんうん、
あなた
でも、効かなくなったのは飲み薬系の口から含むものだけなので……
グラス博士
グラス博士
そうなんだ、それは大変だったね……
あなた
いえいえ、全然です。
あなた
今はこうしていっぱい元気に生きてられるので!
グラス博士
グラス博士
それは良かった、で、大丈夫かい?
あなた
何がですか?
グラス博士
グラス博士
682に襲われたんだろう?
グラス博士
グラス博士
さぞかし怖かったんじゃないかな
あなた
?あんま怖くなかったですよ?
グラス博士
グラス博士
あなた
なんだか、助けてもらったら、一気に安心しちゃって。
あなた
でも別に、もう怖くて外で歩けないとかもないですし。吹っ切れてしまえば、生きてたからオールOK……まあ、あの子、とっても空腹そうだったので、食べられても許してたかもしれませんが。
そう言うとグラス博士は、目を丸くしつつも、大きな声で笑った。
グラス博士
グラス博士
あっはっはっはっはっは!
グラス博士
グラス博士
確かに、クレフの言う通り、
とても面白いな、君は!
今日だけで何回人に笑われただろうなんて思いながら、少し首を傾げる。
グラス博士
グラス博士
あなたくんは、とっても優しいんだね。
あなた
えっ
グラス博士が、にっこり笑ってそう言うもんだから、少し照れくさくなってしまった。
グラス博士
グラス博士
そんなに顔を赤なくてもいいよ、
君は君のままが1番だ。
そう言って頭をポンポンしてくるグラス博士。
あなた
うぁっ、グラス博士、っ///
グラス博士
グラス博士
グラス、でいいよ。
敬語も使わないで大丈夫だよ。
目を細めて、言った。
あなた
あ、………グラス……?
グラス博士
グラス博士
なんだい、あなた。
その、優しくもどこか色気を含んだ顔に一瞬、
クラっとしてしまった。
グラス博士
グラス博士
もうそろそろ夕飯の時間だ。
僕と一緒に、食べてくれないかい?
あなた
ああ、うん!
グラス博士
グラス博士
じゃあ決まり。
一緒にカフェテリアへ行こう。
あなた
わかった!
グラスと手を繋いで、
僕はカフェテリアへと向かうので合った。






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【今回のSCP】

・グラス博士(グラッシー)

グラス博士の人事ファイル
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