今日もリヴァイのところに訪れていた。
兵長室の扉をノックしようとしたけど、
中から話し声が聞こえる。
よく耳をすました。
なんだか険悪な雰囲気…
リヴァイ、モテるんだ…
わかっていたつもりだった。
リヴァイが私と別れて別の女の人と付き合う…
そんなことが、ないとは言い切れない。
そんなこと、想像したことがない。
想像したくもなかったから…
私なんて、別に際立つような美女でもない。
普通の、ごく普通の女の子。
私はもう一度耳をすました。
心臓が跳ねた。
秘密にするってそういうことだよね。
私は辛くなってその場から逃げた。
走った。
どこに行けばいいかわからなかった。
家まで帰るか?
でも、いずれリヴァイが帰ってくる。
…面と向かって話せない。
気付いたら涙が溢れていた。
兵長室から遠く離れた場所で
座り込んで泣いた。
しゃくりあげながら泣いた。
私はミカサたちにあったことを話した。
ミカサは兵長室の方を指さした。
ミカサたちはそう言って、
私たちに背を向けた。
もう何もわからない…考えたくない…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!