第33話

33話
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2023/09/26 08:00
夏油傑
そろそろ帰ろうか




名残惜しくはあるけど

もう充分すぎる程



引いては満ちての繰り返しを見つめていた





篠瀬しのせ あなた
また、2人で来たいね



帰りの車で

言葉にすれば実るような事を口にした



夏油傑
そうだね
篠瀬しのせ あなた
約束だよ?



わざと試すような口調

分かりきっているのに。


夏油傑
私が破ると思うかい?


私はこの

私を試すような笑顔が好き



私たちにしかないシンパシー

篠瀬しのせ あなた
んーん信用してる
夏油傑
ははっ それは良かった




片手でハンドルを操り

前を向いたまま目を細めて笑う彼









もうどうしようもない。



私は単純で馬鹿なのかもしれないけど

きっと違う形で出会っていても



彼は狡いひとなんだろう。








夏油傑
帰ったら会わせたい子達がいるんだ
篠瀬しのせ あなた
会わせたい子達?子ども?
夏油傑
あぁ、私が保護しているんだ




保護している子どもがいるなんて


初めて聞いた







私たちはあんなに沢山話してたのに

お互いの事なんてあんまり知らなくて





ずっと過去の話ばかりしてきた








篠瀬しのせ あなた
私のこと好いてくれるかな
夏油傑
勿論さ。





私の知らない貴方を知っている子が


羨ましいなんて







そんな醜いこと言えないなぁ(笑)















𝐍𝐞𝐱𝐭
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