案内された彼の部屋は
綺麗に整頓されていると言うより物が無い
最低限の日用品と装飾
落ち着いた和室
なんとも彼らしい
彼に近付き
少し背伸びをして胸板に手を置き
首筋当たりの甘美を嗅ぐ
落ち着くウッディ調の香り
私はこれが大好き
そう言いながらも拒否してこなくて
私の頭に手を置き
優しく撫でてくる
彼の手を両手で重ね
頬に擦り合わせる、温かい。
今日はもう疲れていると思っていたけど
今だけ神経が研ぎ澄まされている
血液が逆流しているような感覚
斜め下に視線を逸らし
眉を顰め顔を歪ませる
そんな彼の両頬をしっかり挟み
視線を合わせて伝える
月長石のおかげかな
その日その時 初めて
自分から彼と唇を重ねた
𝐍𝐞𝐱𝐭
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今日あと1話更新するので……!!
♡ × 120
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!