第31話

31話
4,479
2023/09/25 13:41
夏油傑
そろそろ着くよ




カーステレオから流れる
歌詞のよく分からない洋楽を聴きながら

ウトウトしているとそう言われた





篠瀬しのせ あなた
ここって……




5分程として着いた場所







駐車場に車を停め

降りた先に広がる景色は





夏油傑
まだ海開き前だから人少ないと思ってね
篠瀬しのせ あなた
すごい綺麗




目の前に輝く白波




夕方、海開き前のビーチには私たち2人だけ。





波打ち際が泡立ち
引いては漲っての繰り返し




あぁ、青が輝いている







心の奥底から綺麗だと思った







夏油傑
気に入ってくれたかい?
篠瀬しのせ あなた
うん、本当に……綺麗




たった2ヶ月半見なかった外の景色は

鮮やかで輝いていて




その中心にいる彼の笑顔が


周りを色褪せさせる程に眩しく見える






夏油傑
これ、あげようと思ってたんだ
篠瀬しのせ あなた
なぁに?





彼がポケットから出したのは

小さな箱に入ったピアス








それに着いている青い宝石







篠瀬しのせ あなた
……月長石ムーンストーン
夏油傑
君に似合うと思って。
気に入ってくれたかい?





あの眼みたいな

吸い込まれるような青






夕日に照らされて

キラキラと輝いている






篠瀬しのせ あなた
傑さん、ありがとう
死ぬまで一生大事にするね






彼は狡い


本当に狡いひと









私にムーンストーンをあげるなんて。









"恋人たちの石"













𝐍𝐞𝐱𝐭
____________

プリ小説オーディオドラマ