夏油傑 side
2016年 6月20日
監禁から60日が経過
最近のあなたはまるで
私を愛しているかのような
そう錯覚させる態度
私の横にベッタリくっつき
暑いと言う矛盾した言動
なんて狡い女だろうか
つい1ヶ月前まで
あんなに酷い事をしてきた相手に
私が腕を広げると
背中に手を回し抱きついてくる
人間らしくて温かい
彼女は何故こんなにも嬉しそうなのか
何故私なんかを慕っているのか
何故過去を無かった事にできるのか
私の胸に顔を埋める小さな存在が
愛おしく思える。
あぁ、私にも人間らしさが遺っている
ぱっと顔を上げ
目をキラキラさせる
眩しい
光と影のような私たち
あなたが私を慕ってくれたところで
私がした事を無かった事にはできないし
あなたが許しても
私が私自身を許せないだろう。
あなた、君みたいな人は私なんかを信用しないで欲しい
脳内に"ストックホルム症候群"という言葉が
ちら着いたが気にしない事にした。
救えない程に熱い夏
𝐍𝐞𝐱𝐭
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!