第6話

6月
31
2018/07/12 11:01
「ミユウ、ヘルプミー!調理実習やだ!ムリ!」
「うーん、がんばー・・」
「見捨てないでよー!んじゃモエ!」
「ん?無理」
「ああぁ、2人ともー」
「・・・おいサヤカ、黙ってやれ」
「あーリョウ君、すみません」
いいえ、黙ってやるなんてムリです。
今日は調理実習の日。私が担当するのはサツマイモの甘煮。リョウ君は野菜炒め。ミユウとレンがベーコンの野菜巻き。モエとケンが簡単なサラダを作る。
(だって、サツマイモ硬いんだよ!)
(ドンマイ、諦めろ)
(ひどいモエ!)
(頑張れサヤカー)
(ミユウまでー!)
一枚切るごとに硬い、硬いとボヤいた。半分ほど切った時点で私は何も喋らなくなった。
(・・なぁ、サヤカ大丈夫なん?)
「・・・・・」
(サヤカ、代わりにやろうか?)
「・・・・・」
「おい、サヤカ大丈夫か?」
心配そうなリョウ君の声。
「・・・・・」
溜息が聞こえた。ごめんって。今喋ったら手を切っちゃうかもしれないから。
「おいサヤカ、ちょっと貸せ」
「ほら、俺がやるから」「お前は野菜炒めやってろ、俺野菜炒め飽きた」
言い募るリョウ君。あぁもう、分かったよ。
「じゃあ、お願い」
包丁を置き、場所を空ける。
リョウ君がフー、と息を吐き、切り始めた。
次の瞬間。
「うわかった、この芋超かてぇー!」
だから言ったのに・・。
そうやってぼやきながらも、リョウ君は結局全てやってくれた。ミユウとモエがすごくニヤニヤしてリョウ君を見ていた。モテるんだなぁ。

プリ小説オーディオドラマ