第58話

好きになってごめんなさい、
12,877
2020/01/10 13:44
*あなたside*













重い足取りで通学路を歩く。


最近、体の調子が良くない。





どこかだるくてしんどい。
そんでもって、痛い。







肌がどんどん侵食されていっているのが分かる。






そろそろ、決断しなきゃ……だよなあ。











このままころんに言わずに去るかどうか。









……それはそれで可哀想だよね。




















私が好きな人にそんな事されたら病む自信ある。






どうしようか。






なんて言うべき?










うーーーん……











頭を悩ませながらトボトボと歩く。



そしてふと顔を上げると、曲がり角で立ち尽くしているるぅとくんが、いた。
















『あれ、るぅとくん……?』











私の声に驚いたのか、ビクッと肩を震わせる。




………なんで、悲しそうな顔、してるんだろう。









『……あなたちゃん。』



『どうしたの?そんな所でうつむいてて……。何かあった?』



『あったっちゃあったね………』











あははなんて自嘲気味に笑うるぅとくん。



どうしてそんな作り笑い………。









『無理して笑わなくてもいいって言ったのはるぅとくんだよ。ね?何があったの。』



『……………っ』









私から目を逸らして再び俯く。









こんなるぅとくんは初めてだ。





いつも爽やかな笑顔で誰でも受け入れてくれるるぅとくん。

私の悩みだって全て聞いてくれた。




今度は私があのるぅとくんの話を聞いてあげる番なんだ、なんてちょっとだけ嬉しい気持ちがあったりなかったり。






でも、るぅとくんをここまでにする原因ってなんなんだろう……。




検討もつかない。









しばらく考え込んでいたるぅとくんは、ゆっくりと私の方へ視線を向ける。










瞳の奥に灯る何かは、私には分からない。









『………あなたちゃんを傷つけるかもね』



『え?』



『あー、これは怒られるなあ……』











さっきからるぅとくんが言っている言葉の意味が分からない




なんの話なんだろう。






私を傷付ける?怒られる??










『どういうこと?』


『………こういうこと』









それだけ言うとほんの少し控えめに私の体を包み込んだ。








……………包み込んだ!?!?!?!?












『えっ、あ、るぅとくんなにs『ちょっと黙って』』















待って。







超待って。







え????













るぅとくんが悩んでた▷その原因を聞く▷るぅとくん考え込む▷るぅとくんに抱きしめられる←イマココ














な、なんで私、抱きしめられてるの………






さっきまでお悩み相談をしていたはずなのに、急展開すぎて意味が分からない。








……急展開すぎるから、心臓の鼓動が速くなる。
















『…………る、るぅとくん…………』













かすれた声でそう呼ぶと、そっと体を離される。




手は、私の肩を掴んだまま。










真剣な眼差しが私を捉える。






るぅとくんの髪は夕焼けの空と同じ色。






茶色、でも黄色い。













綺麗、だ。














…………るぅとくん、あなたは今、何を考えているの………?



























『………ごめんね、好きだよ』



『…………え』


















るぅとくんの手が私の頬に添えられる。





風で髪がなびく。





大きく目を見張らせる。


















優しく微笑みながら言われたその言葉。






















硬直していると、気づけばドアップでるぅとくんの顔がうつっていた。





























蓋をされていた唇は周りの空気に触れ、とても冷たく感じる。
























…………私、今、るぅとくんに………………




















何か喋ろうとすると人差し指で唇を抑えられる。










『それ以上は何も喋らないで。………………じゃあ、また明日ね。』










































一人ぼっちになったその場で膝を抱え込む。








真っ赤になった顔を見られないように手で必死に隠しながら。




















私今、るぅとくんに告白されて、それで……………

















るぅとくんのその時の表情が頭から離れられない。

優しく、でもどこか真剣な表情。








思い浮かぶたびに顔が赤く、心臓の鼓動が速くなる。

























『…………意識、した……?………』

プリ小説オーディオドラマ