第34話
水*****
-------------ころんside------------
女子1「………………………え?」
そう、さっきまで白城を責めまくっていた女子がこぼした。
でも、そうやって反応するのも分かる
だって…………
女子2「なっ………なんで………」
女子3「紅葉さん………!?何して………」
先程バケツいっぱいの水を白城にぶちまけた。
でも、白城には一滴も水はかかってなくて
自分の着ていたセーターと自分の体全体で白城を守るように
あなたが沢山の水を滴らせて立っていたのだ。
あなた「そんなの………こっちのセリフだよ……。何、してんの………?」
女子1「だ、だって、いっつも雨の日来ないじゃん!」
女子2「そうだよ!家が遠いからって休んでるようにしか見えないよっ」
女子3「そんなのずるいじゃん!?せこいじゃん!?だから水嫌いを克服出来るように私たちが…!」
あなたは何も答えず、そっと白城から離れる。
あなた「……大丈夫?濡れてない?……………ごめんね、私が近くにいたらまた濡れちゃうね」
白城「なんで………どうして…………?」
あなたは一瞬苦しそうな表情を見せたかと思えば
白城の問いにふっと笑みを零し、静かに語りだした_________________
------------水葉side-----------
あなた「…………辛いんだよ」
女子1「………え?」
あなた「水アレルギーって、辛いんだよ。……ねえ、白城さん」
『…!?な、なんで………』
私は紅葉さんの言葉に目を見張る
確かに………私はこの世でとても珍しい、水アレルギー………だ。
あなた「水アレルギーってね……もちろん水に触れられないし、触れたらアナフィラキシーショックを起こして、本当に最悪な場合は死に至る。」
『死』と言う言葉にクラス全員が息を呑む
あなた「症状の差は人それぞれで、多少触れるくらいなら大丈夫な人もいれば、一滴でも触れてしまったら大事になっちゃう人もいる。………白城さんは、後者……でしょ?」
『…………………………』
あなた「だから、雨の日…来られないんだよね……」
女子2「水アレルギーって……なにそれ……」
女子3「そんなのあるわけ………」
認めようとしない女子たちの言葉をさえぎって紅葉さんは言い放つ
あなた「あるんだよ。2億人の一人の可能性で、なっちゃうだよ。」
あなた「水アレルギーって、触れなきゃ問題は無いけど、いつか体の中までアレルギー反応が出ちゃうんじゃないかって………すごく怖い事なんだよ?」
紅葉さんは静かに、でも、強く喋る
感情が抑えられてないからなのか良く分からないけど、紅葉さんの体は小刻みに震えていて、立っているのもままならないような様子だった。
あなた「でもそんな恐怖と不安で推し潰れそうな中で白城さんは、ちゃんと生きてるんだよ……過ごしてるんだよ………?頑張ってるんだよ……?それをずるいとかせこいとか………言わないで…………!」
いつの間にか涙を流しながら訴えている姿をクラス全員が見つめている。
さっきまでずっと何か言いたそうにしていた女子達、バケツを持ってきた男子は俯く。
でも、俯いてた中の女子達は顔を上げて、私を視線でとらえ
女子1「……………ごめん。何も知らなくて……。」
女子2「私も、こんな酷いことしようとして………」
女子3「ごめんなさい……………」
そう言って、謝ってくれた。
でもまあ、私には一切水がかかってないから……
謝るなら紅葉さんに謝って欲しいなあなんて思ったけど……
当の本人が良かったね、なんて微笑みながら言われたため、その謝罪を素直に受け入れることにした。
紅葉さんの言ってくれた言葉はその通りだった。
全て、私の胸の内を代弁してくれた
でも、少し気になった事がある。
『あっ、あの………』
あなた「……………なあ、に?」
『ありがとうございます……。でも、どうしてそんなに私の気持ちが分かるんですか………?』
そう問うと、紅葉さんは力なく笑い
___________私も、同じだから__________
そう言って、その場に崩れ落ちた
ハイネックの黒いアンダーシャツで肌が隠れているとはいえ、目に見える紅葉さんの手や顔、足などは真っ赤に腫れ上がっていた__________________