*あなたside*
気付けば真っ暗な暗闇に私は居て、おもむろに歩いていた
ここは、何処だろうか
私は死んでしまったのだろうか
それなら、ここは天国?地獄?
……………天国な訳がないか。
こんな真っ暗闇の天国なんてごめんだ。
だとすると…ここは地獄……?
なんにも見えないこの空間。
そもそも目を開けているのかと疑うくらい黒い。
私は一体何をしたっていうの……………
この訳の分からない空間に*一人で*いる事が怖くなり、その場にしゃがみ込む。
怖くて怖くてたまらないのに、涙は出てこない。
ああ、こんな風に泣けなくなったのはいつからだろうか。
涙が枯れてしまったのはいつだっただろうか
こんな非情な私を誰が助けてくれるのだろう。
『はは……………』
乾いた声が溢れる
でもきっと、それは誰にも届く事はなくて暗闇の中に溶けていく。
こんな所にずっといるくらいならば
*死んでしまいたい*
そう思った
その刹那、眩い光が私を照らした。
私は目を細めながらもその明かりの元を見つめる
すると光の中からすっと手が伸びてきた。
普通ならびっくりして逃げ出すのかもしれない
だけど私は、あの暗闇に戻りたくない一心で手を掴んだ。
手には、銀色で…………ほのかに青白く光ったブレスレットがつけてあるのが見える。
それが私の最後の記憶となった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。