*あなたside*
『あの、、、さとみくん?』
『はい、あーん』
『????????』
今の状況を説明しましょう。
学校へと登校中にいきなりさとみくんにダッシュで引っ張られ、先程着いたのはなんともオシャレなカフェである。
巷で噂の可愛いパンケーキがでるお店だ。
それを何故かためらいもなく頼んだのはさとみくん。
しかもカップル限定でハート型のクッキーもついてくるやつ。
『素敵な彼女さんですね♡』
なんて笑ってきた店員さんに、俺には勿体無いくらいの可愛さですよほんととか言った時は殴ろうかと思いました。はい嘘です。
こんな顔面偏差値勝ち組の彼氏なんてやだ………他の女子に刺される………
……ころんも勝ち組だったわ忘れた。
『んで?さとみちゃんに全部話してごらんよ』
『いやこの状況はきついぞかなり』
『なんでよ。あえて明るい雰囲気の所選んだんだけど』
『そういう問題じゃないんだよなあ………おいパンケーキ食べんな』
聞く気はあるんだろうけどパンケーキ食べながらは流石に言えませんよ???え???
パンケーキはふわふわで軽くても、私が話す内容は軽くないよ?くっそ重くてドロドロだよ?え大丈夫??
絶対理解してないに一票。
『と、とりあえずそのパンケーキ食べ終わろう。そしたら話すから』
『おけみざわ』
『JKか』
『DKだわ』
『ドンキーコングじゃんWWWWWWワロタWWWWWWW』
『うるせえよお前WWWWW』
#さとみくんまさかのDKカミングアウト
『食べるの遅かったねさとみくん』
『味わいながら食べてるって言ってくんね?………で、あなたは何を悩んでんの』
『おぉん……何で悩んでるってバレるかなあ………』
『俺の観察力舐められると困るわ。見てたら分かるんだよ』
『へ、へえ………』
私はさとみくんに心の中を全て打ち明けた。
水アレルギーの治療の為にアメリカへ行かないといけないこと。
行って無事終わらせたとしても、家の事、お母さんとの決着は付いていないからすぐには帰られないこと。
それらを全てころんに言えないまま去ろうか迷っていること。
なんなら今日はころんの家に泊まるため、二人きりになること。
あとは…………るぅとくんとの事について。
さとみくんって人の話ちゃんと聞くのかななんて思っていたけれど、想像以上に真剣な表情で聞いてくれた。まじかよ。
『まああれだなあなた、素直になれよ』
『??素直じゃない部分ある?』
別に私ツンデレとかじゃ無いんだけど………。
ツンデレとかいう意味じゃねえからなってさとみくんに釘刺された。
え、もう何エスパー?
『言いたいならころんに言えばいいのに。本人も知りたがってるってのは分かってんだろ?なのにころんの為に言わないって、ただの勘違いお人好しも良いところ。』
『ウッ………言うねえ………』
『いやでも事実じゃん。拒む理由ある?………あ、ころんが傷付くとかいう理由以外な。』
『無いけど………。でも、言ったら傷付くのは事実でしょ……』
『お前なあ………。いい加減ころんがだいぶ傷付いてるって気付けよ。ころんと何日間喋ってない?それ、あなたが自分の好きな人にやられたらどうする?』
俺だったら絶対病む自信あるわあ。嫌われたと思うもん、とも零す。
キュッと胸が締め付けられる。
確かに、そうだ。
ここ最近自分の事しか考えてなくて、ころんの事なんて何一つ………。
『………………そうだね』
『あ、気付けてなかった私最低だ、なんて思うなよ。別に俺あなたの事追い詰めたいわけじゃ無いし。』
念には念を、と言うさとみくんはやっぱり凄いと思う。
実際最低だって思おうとした。というか思った。
それでも見抜いて私を負の連鎖から救ってくれるさとみくん。
何で彼女出来ないんだろう…………(違うそうじゃない)
『ま、そゆことよ。とりあえず今日素直に言うんだよ。』
『はい……』
『おい目逸らしながら言うなよw…………大丈夫だって。ころんはちゃんとあなたの事受け止めてそばに居てくれるから。俺の保証付き。』
『……そうだね。』
確かにさとみくんの保証付きなら安心出来るかもしれない。
なんだかんだ言ってさとみくん、ころんと仲いい部分あったりするしね。
大丈夫だ私、不安に思う事なんてないぞ。
『あと、お母さんと決着付けるのは別にいいんじゃね?そのまんまにしとくっていうのはあなたの中の選択肢に無さそうだし。いくらでも皆で待っててやるからさ。』
『ありがとさとみくん。』
『良いってことよ。あとは?何だっけ?』
あとは…………………るぅとくん、か。
今思い出すだけでも顔が火照ってどうにかなりそう。
別に恋愛感情があったかと言われれば無かったかもしれないけど、あの出来事から意識しっぱなしっていうのは事実だ。
『るぅとくんです…………』
『あーね?るぅとな』
『どうしたらいいでしょうか…………』
うーん、と腕を組みながら考えるさとみくん。
その、告白の仕方があれだったんだよね。
ただ、*好き*としか言われてないから返事も何も出来ないんだよね。
でもさ、そのまま何事にも無かったかのように接するのもどうかとは思う。
るぅとくんにも、傷付いては欲しくない。
『別に普通に接したら良いと思うんだけど』
『え』
『だってるぅと、返事求めてる訳じゃねえし。ただあなたが幸せになってくれたらそれで良いんだよ。』
るぅとくんがイケメン過ぎる。
そんな事知ったら余計に揺れるじゃん…………。
『ま、誰を選ぶかはあなた次第。…………思い詰めたりとかはしない事!』
ピッと私に向けて指がさされる。
私は──────────────。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。