第63話
【番外編】聖なる夜に
*これはあなたさんところんさんが付き合った設定でのお話です*
*ころんside*
今日は一年に一度しかない冬を代表するイベント、クリスマス。
いわゆる多くのリア充が外へ出ていちゃいちゃしまくるというあれだ。
数年前までこの日はただただ殺意しか湧かなかったが、隣で気持ち良さそうに眠っているあなたの顔を見ると心底どうでもいい話になる。
まあ別に、僕は今非リアじゃないし。
本当ならあなたと外に出て非リア達に僕達の姿を見せつけてやりたかったが、お互い寒いのが苦手な為、家でのんびりすることに。
さっきまでゲームで白熱とした戦いを繰り広げていたら、気づけば隣であなたが眠ってしまった。
…………大方、ふてくされて寝たんだろうけど。
ごめんねの気持ちを込めながらそっと頭を撫でてみる。
『………爆睡じゃん』
まあいいけどね。
こうやってまじまじと寝顔見つめれる事なんてないし。
サラサラな髪の毛に長いまつげ、うっすらピンクがかったふんわりとした唇に、服からちらつかせる鎖骨。
手は僕の服をちょこっとつまんでいる。
しんどすぎ。なにこれ。拷問?
わざとされてるの?ねえねえ。
僕耐えられるかわかんないよ??いいの???
『……………分かるわけないよなあ……はぁぁぁぁぁ』
約三十分ほど悶ております死ぬ。
もう僕十分頑張ったよね…??(頑張れ理性)
ちょ、ちょっとくらいなら……(負けるな理性)
別に下心があるわけではないが、そっと服の首元を下げる。
もう一回言う。下心があるわけではない()
きれいな鎖骨が見えたと思えば、ほんの少し他の肌の色より変色した部分が。
『…………っ』
考えなくてもわかる。水がかかった部分だ。
あなたの傷跡を見るたび思い出すのはあの教室での痛々しい記憶。
立ち尽くしたままだった僕を今でも情けなく思う。
あの頃からずーーーーっと好きだったのにな。
好きな人さえも守れないで……ねえ?
まじありえねえよな過去の僕。
でも今は違う。
あの頃の無知な僕とは。
『…………ん』
『…あ、起きた』
うっすらと目を開けるあなた。
その瞳はとても潤っていて。
おはようなんて笑ってくる姿がまた愛おしい。
その笑顔をずっと守る。もうあんな思いさせない。
クリスマスの聖なる夜に何度だって誓おう。
君のために。
無反応な僕を心配したのか困り顔をするあなたの、その唇にそっと接吻を落とした───