その後 、しばらく 無言のまま向かい合っていた 。
最初に目を逸らしたのは 彼だった 。
目を逸らしたあと 声もかけずにまた煙草を吸いに行ってしまった 。
彼の髪が 風になびいたとき 風に乗って彼の匂いが流れてくる 。
少し離れたところで 彼を眺める 。
何回も染めているのにサラサラな真っ赤な髪の毛
いろんな意味で大きな背中
とても落ち着く 心地のいい低音ボイス
一見クールだけども 実は子供っぽいところ
全部 知ってる 。
全部大好き 。
それなのに 彼には何も伝わらない
いや 伝わっているのかもしれない 。
けれど彼は気付かないふりをしているのか …
それなのに 私との関係を続けている
つくづく 罪深い男だと思う 。
そんなことを考えていたら
少しずつ夜が明けてきた 。
彼の髪が 朝日に照らされて光っているのを見て
私はまた見とれてしまう 。
そして 私は
また彼に恋する
続く
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。