チャイムが鳴った。
理科の授業だ。理科室へ行くと必ず他クラスと合同になる。
それが私は楽しくて、嬉しくてたまらない。
だって、目の前に、はじめくんがいるんだから。
あわあわ、してて優しくて、私の癒しだ。
なんか、マスコット見てるみたいな感覚になる。
ひたすら、頷き話の続きを聞こうとした。
なのに、何も言わずに作業を始めた。
あれ、?
同じクラスの子はもう1人の他クラスの子と道具を取りに行ってしまった、。
2人だけでの実験時間…、少し嬉しかった。独り占め感があって…。
ゆるキャラみたいな感覚で好きなんだよなぁ。。はじめくん。。
作業をしながら微笑み、そう言った。
無理させて事故になったら危ないよね、、うん。
火が私の目の前で勢い良く燃え出した。
つい、声に出てしまった。
とても真剣な眼差しで私に訴えて来た。
そして、うんという間も無く手を引かれた。
ありがたいとは思う、でも、私達が教室を飛び出てすぐに教室ではざわめきが聞こえていた。
保健室へ入ると、先生の姿はなく、2人、顔を見合わせた。
冷凍庫の中の保冷剤を私の火傷に当ててくれた。
少し、高鳴る鼓動が私の気持ちに気づかせてくれた。
じっと見つめていた私に気づいたのだろう…。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。