松潤side
この瞬間がずっと続けばいいと思ってた。
俺たちは頬を赤らめながら手を繋いでいた。
ヤバイ、俺まじであなたが好きだ。
どんどん赤く染まってゆく自分の頬で、それを実感した。
俺たちは、新しく作っているエリアの前を通り過ぎた。
後から俺は、そこを通ったことに、後悔してる。
クレーンなど、大きな機械がたくさん動いていた。
その時だった。
気付いた時にはもう遅かった。
クレーンから起きてきた木材らしきものが、あなたの上に落ちてきた。
あなたは頭から血を流して倒れていた。
俺はあの時のことを、よく覚えていない。
後から聞くと、みんなが駆けつけてくれたそうだ。
俺たちが帰ってこなくて心配して探しにきたらしい。
俺がその時覚えてたのは、
園内中に鳴り響いていた救急車のサイレンの音と
あなたを守れなかった。
その絶望感で頭が真っ白になったことだけだった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!