前の話
一覧へ
次の話

第103話

番外編「ご挨拶」
不死川実弥
不死川実弥
……着いた…
「青桐」と書かれた表札。
あいつと付き合い始め、まだ1年と少し。

……なのだが、俺はやってしまった。


「──結婚、してくれ。」


不死川実弥
不死川実弥
………。
……馬鹿だ。
1年だぞ、まだ。

ご丁寧に結婚指輪まで用意してよォ…。
ほんと、何してんだ俺。
あいつもあいつで……しれっと了承しやがって。

挙句の果てには、宇髄達にも知られた……死んだ。
……で、今俺はあなたの実家……つまり、ご両親が住んでいる家の前に居る。

勿論、あなたも一緒に。
あなた

あれ、実弥さ~ん??? もしかしなくとも緊張してますぅ~???

さっきからずっとこの調子だが。
不死川実弥
不死川実弥
うっせぇ、悪ぃかァ…
あなた

あ、え、? 本当に緊張してたんですね…?

不死川実弥
不死川実弥
当たり前だろうが結婚の挨拶だぞォッッ…!?
ふぅ、と1つ息を吐き、玄関の呼び鈴を押す。
ガチャリと開いたドアから出てきたのは、あなたの母でも父でもなかった。
あなた

え? …じ、爺ちゃん…?

祖父
………
祖父
……ほぅ。
俺の事を一瞥したかと思えば、そんな声を漏らす爺さん。

……目付きが鋭い。
不死川実弥
不死川実弥
……初めまして、あなた…さんとお付き合いさせて頂いている不死川という者です。……本日は、
祖父
あぁ、良いから良いから。
……とりあえず上がりんさい。
……あなたの爺さん…まじか。
一筋縄じゃ行かなそうな気しかしねぇんだが…。

…俺、顔面こんなだし。←強面顔自覚済み
というか、あなた何でそんな目泳がせてんだ。
あなた

……さ、実弥さん。

不死川実弥
不死川実弥
……何だァ…?
あなた

爺ちゃん、正直ね。
……手強いよ、うん。

不死川実弥
不死川実弥
……だよなァ。
聞けば、こいつの両親の時も一悶着あったらしい。
そん時は婆さんも居たらしく、今回は爺さんだけだからまだマシだと。

……あなたは、言っているのだが。
祖母
……私は認められません。
……普通に婆さんも居た。リビングに居た。
目合わせた瞬間、拒否られた。

……やばい。
で、でも母さん、実弥さんは本当に良い人で……
祖父
……この傷だらけの人が、か?
不死川実弥
不死川実弥
は、はは………。
乾いた笑いしか出てこない。
いや笑い事じゃない。

……こいつのご両親まで説得側に回っている。
祖母
とりあえず座りなさい。
不死川実弥
不死川実弥
ありがとうございます…。
祖母
…あなたも、早く。
あなた

は、はいッッ……

…そして、お二人からの質問攻め。
祖母
……職業は?
不死川実弥
不死川実弥
…中高一貫校のキメツ学園という学校で、数学教師をさせて頂いています。
祖父
そこは確か、あなたが通っていた……。
あなた

う、うん。高3の時、私の担任だったの、実弥さんは。

祖母
……へぇ。教師と生徒、ですか?
二人
……………。
絶対今、俺の印象悪くなった。
教師と生徒なんざ受け入れ難いよな。

……あなたの両親が特殊だっただけで、祖父母に認めてもらうのはかなり時間が掛かりそうだ。
祖母
…ご年齢は?
不死川実弥
不死川実弥
…26、です
祖父
あなた、お前は?
あなた

……じゅ、19…。

…7歳差。
大丈夫かコレ。

今の所、悪い印象しか与えてねぇ気がする。

……すると婆さんが、冷めた目付きで俺を見据え言い放った。
祖母
……お引き取り下さい。
孫に何をしでかすか分かったものじゃありません。
あなた

ば、婆ちゃッッ…!!

祖母
あなたはお黙り。
あなた

っ…!!

予想通りの返答が帰ってきた。
だけどこんなんで諦めるとでも思ったか。
不死川実弥
不死川実弥
……俺は
…そう言おうとした瞬間だった。
あなた

実弥さんはッッ!!

* * * *
嫌だ。
何で、何で分からないんだ。

私は、実弥さんとじゃないと。
あなた

実弥さん、こんな顔で背も高くて…確かに怖そうに見えるけど、そんなの偏見でしかないッッ…!!

声を張りあげれば、隣に居た実弥さん、そして婆ちゃん爺ちゃんに母さん父さん。

その場の全員が驚いた顔をして私を見た。
あなた

確かに実弥さんは、学校で問題起こした生徒を吹っ飛ばしたり、直ぐにキレたりするかもしれないけどッッ……

祖母
……生徒に…暴行を?
あなた

違う、ちゃんと話聞けよッッ…!!

感情的になってしまい、婆ちゃんに対しての口調が悪くなる。
祖父
(……口調が荒い…やはり、悪影響……)
あなた

実弥さんはッッ……実弥、さんはッッ……!!!!!!

不死川実弥
不死川実弥
あなた……少し、落ち着けェ。
実弥さんが私の背中を優しく擦る。
こんな状況だ、そんな行動を取るのにはかなり勇気がいるだろう。

……やっぱり、この人は、優しい人だ。
あなた

実弥さんは、こんな顔のクセに甘い物が好きでッッ……。
誰よりも、私の事を考えて、くれててッッ…。

あなた

……きっと、婆ちゃんや爺ちゃん以上にッッ……!!

祖父
なっ……
祖母
あなた、巫山戯るのも大概にっ……
不死川実弥
不死川実弥
…本当にあなたが巫山戯ていると思いますかァ?
そこで実弥さんが口を開いた。
不死川実弥
不死川実弥
こんな……涙目になりながら。巫山戯ていると思うんですか、爺さん婆さん。
声のトーンが下がる。
実弥さんが……いつになく真剣だということが分かった。
祖父
……いや、あなたは真剣だ。
それは悪かった、訂正しよう。
祖母
…………。
黙り込む婆ちゃん。
不死川実弥
不死川実弥
……あなたは
︎︎
不死川実弥
不死川実弥
……あなたは、俺が……絶対に、守ります。守り抜いて、必ず幸せにします。
不死川実弥
不死川実弥
……だからどうか、爺さん…婆さん。
そう言うと実弥さんは、深々と頭を下げて。
不死川実弥
不死川実弥
どうか、お孫さんを……俺に、任せてはくれないでしょうか。
あなた

さ、実弥さッッ…!!

不死川実弥
不死川実弥
俺なんかでは未熟なのは重々承知しています、得体の知れない傷だらけの男にお孫さんを任せるのは不安でしかない事も分かっています。
不死川実弥
不死川実弥
……ですがッッ…
祖父
……顔を上げなさい。
……さっきまでとは違う、柔らかい声音だった。
見ると、爺ちゃんも婆ちゃんも優しく微笑んでいて。
祖母
……キツく当たってしまいごめんなさい、不死川さん。……あなた、ちゃんと幸せにして貰いな。
あなた

そ、それじゃあッッ……

祖父
……あぁ。儂らは認めるよ。…不死川さん、あなたを…よろしく頼みます。
ホッ、と息を吐けば、実弥さんはまた頭を下げていた。
不死川実弥
不死川実弥
ありがとうございますッッ…あなたは俺が……この命にかえても幸せにします…ッッ
あぁ、本当に、優しい人だ。

婆ちゃんの身体が弱っている事、見抜いてるし。
実弥さんは「お身体気を付けて下さいねェ」と祖父母に言い、父母にも挨拶をして家を出た。
あなた

……実弥さんって、人に頭下げたりするんだ……

不死川実弥
不死川実弥
そんくらい普通に出来るわ舐めてんのかァッッ……!!!!!!













番外編「ご挨拶」___fin.


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


番外編、書きたかったんです((殴殴