第55話

月明かりの下で
息を切らして、胡蝶の言っていた場所まで全速力で来てみれば。

青桐が縄でぐるぐる巻きにされ、ぐったりとしていて、更に首から血が流れている。

涙を流しながら気絶してるその姿を見た瞬間、腹の底から激しい怒りが湧いて出てきた。
童磨
童磨
何言ってるの? この子は君のものじゃないでしょ
不死川実弥
不死川実弥
んなこたァどうでもいいんだよ……さっさと青桐を…あなたを返しやがれェ
自分でも驚くくらい、ドスの効いた低い声。

激しい殺気をチラつかせながら、ジリジリと二人に詰め寄る。
猗窩座
猗窩座
……童磨。一旦引くぞ
童磨
童磨
えぇ? 何で? こんなチンピラ教師、大したこと…
猗窩座
猗窩座
……お前、柱だな?
童磨
童磨
!!
不死川実弥
不死川実弥
……なぁんのことだか。
柱。

懐かしいその単語に、鬼狩りの日々が蘇る。
……もう、遠い昔の話だ。

今となっちゃ、そんなに覚えてねぇが。
童磨
童磨
……まぁいいや。柱相手となると面倒臭そうだし、この子は返してあげるよ
そう言って、乱雑に青桐を放り投げる男。

すかさずキャッチして、キッと男を睨みつける。
不死川実弥
不死川実弥
……んじゃ俺ァもう帰る。…クソ鬼が、とっとと地獄に堕ちやがれ
そう言い残し、俺はそこから去っていった。
****
…縄を丁寧に解き、首の手当てもして、青桐が目覚めるのを待つ。
……どうやら、花火はもう終わってしまったようだ。
あなた

ん……

あなた

……あれ? 先生が居る……さっきの変な奴らは居ないし………あ、まさか夢…?

などと、起きた瞬間に意味のわからないことを言い出す青桐。
不死川実弥
不死川実弥
夢じゃねぇ。テメェを尾行してた胡蝶に連れてかれた場所聞いたんだァ。
不死川実弥
不死川実弥
……そんで、俺が助けに来た
あなた

…!!

俺がそう言うと、安堵したかのように息を吐く。

……一瞬、青桐の顔が綻んだように見えたのは…気の所為だろうか。
あなた

……おはぎのクセに…

不死川実弥
不死川実弥
おい助けてやったんだから感謝するとこだろそこはァ
…月明かりの下、2人で照らされた道を歩く。
……すると、突然青桐が口を開いて。
あなた

…先生。花火は残念でしたけど、今日は…

あなた

"月が綺麗ですね"ぇ。

不死川実弥
不死川実弥
っ!!
不死川実弥
不死川実弥
……あァ、そうだな。…"お前と見る月だから"かもなァ。
あなた

え、先生急に何言ってんですか大丈夫ですか?

不死川実弥
不死川実弥
イラァッ
ーー令和コソコソ噂話ーー

青桐は、"月が綺麗ですね"の意味を知らないよ。だから、実弥さんがどういう意味を込めてああ言ったのかも一切分かってないらしいよ。












月が綺麗ですね貴方のことが好きです。」

貴方と見る月だからかもしれませんね貴方は私にとって特別な存在です。」