入口にいるクラスメートの大きな声が響く
私たちのクラスは文化祭で不思議の国のアリスをイメージした脱出ゲームを企画した
皆で一致団結して準備を頑張ったお陰か外に行列ができるほどの人気だ
紺くんの笑いが止まらない
うぅ…今、はりきりすぎた自分が恥ずかしい…
さて、休憩時間を貰った私は紺くんと一緒に校内を回る
『あれ?生徒会長って彼女いたの?』
『初耳~!でもあんな人、3年生にいたっけ?』
『さぁ?もしかして後輩じゃない?』
…なんだか周りの視線が痛い
そっと呟く
ズキン と心が痛む
…私と紺くんは嘘の恋人
…私、何浮かれてるんだろ
ダメだ、ダメだ
今日はせっかくの文化祭…楽しまなきゃ…
と見回すと前の方から私がよく知っているある人物が
その人は私たちを見て
酷く驚いた顔をして
そして
そして
倒れた
私はその人の元へ駆け寄る
駆け込もうとした
同じ瞬間に起きたものをみるまでは
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。