第5話

5話
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2022/11/03 11:00
『ヒミツ:本当は佐藤茅華のことが好き。』
LIMEには、確かにそうメッセージが来ていた。
え、
どういうことだ?
一瞬、勝也が茅華に告白メールを送ったのかと思ったが、違った。
そのメッセージの送り主はプレンドだった。
『え。これ何?』
茅華がすぐさま反応する。
『誰の話?』(翔人)
『どういうこと?笑』(勝也)
本当にどういうことなんだろうか。
『勝也、お前のヒミツなんじゃないの?笑』
『いやいやいや!笑笑』
勝也からの返信に違和感は覚えつつも、プレンドの悪い冗談だという結論に落ち着いた。

しかし、数日後の朝、
再びプレンドからメッセージが届いた。
『ヒミツについての説明
 グループ内の誰かのヒミツをその内容だけ送るものです。(不定期)』
端谷翔人
端谷翔人
おいおい。今更かよ。
『ヒミツ:2キロ太った。』
あ。これはもしや。
『茅華のことだなこれ。』
『なんでそうなるのよ!』
『たかが体重2キロをヒミツにするなんてこの3人の中じゃ茅華しかいないだろ。』
我ながら名推理だ。
『待てよ翔人。笑
 なんでプレンドが全員の体重把握してる前提なんだよ。笑』
まぁ。それもそうだ。
『確かに。』
『さすが勝也!』
この間のヒミツといい、少し冗談がすぎるな。
このプレンド。
だが、やはり何か胸の奥に引っかかる不気味さは残ったままだ。

その日の夜、
まるでその胸の奥にあるものを無理やり引きずりだすかのように、プレンドから新たなヒミツが送られてきた。
『ヒミツ:佐藤茅華のワークが見当たらない。』
僕がちょうど机の下に顔を突っ込み、そこに積み上げている教科書や昔のテストの答案の山をかきわけている最中に来たメッセージだった。
バイブレーションの音に驚き、机に頭をぶつけた痛みなんか一瞬で吹き飛んだ。
『ねぇ、これ、本当じゃないよね?』
僕がパニックになるには十分すぎる出来事だ。
まず、どうやって茅華に弁解するかということ。
次に、本当にワークをどこにやったのかということ。
そして、このヒミツは本物だということ。
『いや、完全になくしたわけじゃなくて、どこに置いたっけなぁ。って思ってたところでして。』
『え?ってことは本当ってことか?』
『まじで死ぬ気で探してよ。』
『はい。すみません。死ぬ気で探します。』
『いや、確かにワークも大事だけどさ……。これはたまたま当たったとか、冗談で済む話じゃないぞ?』
まじでそうだ。
『そうなんだよ。しかも、ちょうど探し出したタイミングで来たっていうのも不気味というか。なんというか。』
『なぁ。もうプレンドやめない?』
『やめるって、グループから外すってこと?』
茅華が問う。
『なんか怖いし、そうしない?』
『まぁ、僕は賛成。』
結局、今夜をもって、プレンドはこのグループから外すことになった。
だが、事態はそう簡単には終わらなかった。
表示されたメッセージを見て、背筋が凍る。

『このアカウントはグループから削除することはできません。』
『え。』
『怖いんだけど。そんなの聞いたことないよ?』
僕は急いでパソコンを開き、ネットの掲示板に書き込みをする。
『LIMEのAIアカウント、Play with Friendの「ヒミツ」という機能について何か知っている方はいませんか?』
藁にもすがる思いで投稿する。
誰かが反応してくれれば良いが……。
願いを込めて、パソコンを閉じる。

この日から、
いや、プレンドを招待したあの日から、
僕たちの関係は変わっていったのかもしれない。

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