第4話

4話
1,312
2022/10/27 11:00
プレンドというAIアカウントは、本当にすごい技術だった。
今までのAIとの会話は、どこか物足りなかったり、会話が噛み合わなかったりしたが、
このプレンドは完璧な会話のキャッチボールをしてくれる。

勝也も茅華も、毎日のようにプレンドで遊んでいた。
僕と勝也と茅華とプレンド。
4人グループ内での僕は、まるで空気のような存在だった。
彼らは僕を無視しているわけじゃない。
僕を含めた会話も、もちろんある。
だけど、なんだか馴染めていない。そんな気がしてならなかった。
それなのに、プレンドとかいうアカウントは僕よりもずっと、2人の時間に溶け込んでいる。
端谷翔人
端谷翔人
このAIの方がよっぽど人間らしいじゃないか。
そんなことを思ってしまう自分にも嫌気がさしてしまう。
何もない日は毎日のように行っていた学校にもいかず、こうやって自分の部屋でゴロゴロしている。
エアコンの温度をギリギリまで下げ、日本で一番涼しいところに僕はいるんだなんて考えて、この気持ちを紛らわせた。

ふと、スマホを見ると通知が20件ほどきていた。
もちろんあのグループだ。
と、そこへまた新しい通知が来る。
端谷翔人
端谷翔人
はぁ。またあの2人か。
そう思って見たが、違ったようだ。
グループに新しくメッセージを送っていたのは、勝也でも茅華でもなく、プレンドだった。
基本的に、人間が話しかけない限り、AIが話すことはない。
だが今回はプレンドが自発的にメッセージを送ってきたのだ。
メッセージの内容はこうだ。
『いつも楽しい会話を、ありがとうございます。たくさん、私と話してくれるみなさんにだけ、新しい機能を追加します。その名も「ヒミツ」です。この機能を使いたいのであれば、「はい」とメッセージを送ってください。尚、誰か1人でも「はい」と送ると、「ヒミツ」が作動しますので、よく相談してから決めてください。』
不気味すぎる。
まず、『みなさんにだけ』って文章からして怪しすぎるし、「ヒミツ」がどんな機能かの説明もない。
端谷翔人
端谷翔人
こんなの詐欺か何かに決まっている。
と、プレンドからのメッセージに僕がひるんでる間に、また1件、グループにメッセージが届いた。
茅華からだ。
『はい』
っておい!!
嘘だろこいつ!!
すぐさまメッセージを送る。
『おい!何してんだ!詐欺だったらどうするんだよ!』
『いやいや。LIMEのAIアカウントで詐欺だなんて聞いたことないし。笑』
この「笑」が無性に腹たつ。
『聞いたことない。見たことないをやるから詐欺なんだよ!』
『変なとこで真面目になるなよ!大丈夫大丈夫。笑』
確かに、プレンドからの怪しいメッセージはここで終わった。
だが、それが逆に不気味さを際立たせた。
なぜなら。
それ以降、いくらグループ内でプレンドの名前を呼んでも、怪しいメッセージどころか、日常会話までしなくなってしまったのだから。
端谷翔人
端谷翔人
ヒミツ
この言葉を頭の中で反芻する度、なんとも言えない感情が僕の中で渦巻いていた。

プリ小説オーディオドラマ