第12話

探偵部校外活動……それってデートですか?
810
2023/06/03 11:00
波風先輩への気持ちを自覚したものの、特に生活は変わらなかった。
あなた

はあ……

あなた

(いろんなものを飛び越えて、いきなり先輩の家庭の事情を知っちゃったんだもん)

あなた

(これって乙女ゲームで言うところの個別イベントだよねえ)

あなた

(『青春フォトグラファー』のメイン攻略対象よりも、かなり重いけど)

あなた

(でも前世でも現世でも、私恋愛なんてよく知らない)

あなた

(前世はそもそも霊感体質が原因で、恋愛どころか、まともな高校生活すら送ってなかったし)

あなた

(幸いにも現世では、ごくごく普通の高校生活送らせてもらってるけど)

あなた

(恋愛したことないから、自覚したからって、なにをどうすればいいのかわからないよ……)

あなた

(乙女ゲームのヘビーユーザーだからって、恋愛に詳しいって思ったら大間違いなんだからね)

休み時間中、私がひとりで悶々と考え込んでいるのを見かねたのか、寿葉ちゃんが口を挟んできた。
浜中島寿葉
浜中島寿葉
どうかした、あなたちゃん?
浜中島寿葉
浜中島寿葉
恋煩こいわずらい?
あなた

う……うん、まあ、そうかも

浜中島寿葉
浜中島寿葉
それって、波風先輩?
あなた

……多分

浜中島寿葉
浜中島寿葉
ふーん。でもあなたちゃんの場合は、普通に波風先輩としゃべってればいいんじゃないかな
あなた

……どういうこと?

あなた

先輩、誰に対してもああだから、たったふたりの部活で、どうこう変わらないよ?

浜中島寿葉
浜中島寿葉
そんなことないと思うよ?
浜中島寿葉
浜中島寿葉
だって、波風先輩。女子との浮いた話、ひとつもないもん
あなた

(うっ……否定ができない)

あなた

(尾行しようとうろうろしてたけど、本気であの人、女子との絡みが私以外全くなかった)

あなた

(あの人がモテないのは安心できるけど、これって素直に喜んでいいのかどうか……)

浜中島寿葉
浜中島寿葉
波風先輩、多分だけど女子に興味がないんだと思うよ?
浜中島寿葉
浜中島寿葉
部活のほうが楽しいとか、男友達と遊んでいるほうが面白いとか、そういう感じ
浜中島寿葉
浜中島寿葉
でもあなたちゃんは、普通にその波風先輩に付き合えているじゃない
浜中島寿葉
浜中島寿葉
ならこのまんまでいいと思うな
浜中島寿葉
浜中島寿葉
いきなり恋愛に走るよりも、仲のいい先輩後輩から進めたほうが
あなた

それで、いいのかな? それって、仲がいいから踏みとどまるってこともあるような……

浜中島寿葉
浜中島寿葉
うん、それはあるとは思うけど
浜中島寿葉
浜中島寿葉
そこは単純に、あなたちゃんが少しずつ女子だって意識させていけばいいんだと思うよ
浜中島寿葉
浜中島寿葉
居心地のいい関係から、離れがたい関係に少しずつ変えていけばいいんじゃないかな
浜中島寿葉
浜中島寿葉
いきなりどうこうなりたいって言うよりも、持久戦に持ち込んだほうがいいよ
あなた

(さすが寿葉ちゃん。恋愛ナビゲーター……)

あなた

(ひとりだったら、どうにかフラグを立てようと思って、突撃して自爆してたかもしれない)

あなた

ありがとう……なんとかしてみるよ

浜中島寿葉
浜中島寿葉
うん、頑張ってね
寿葉ちゃんに応援されながら。
放課後、久々の部活に出かけていった。
あなた

失礼しまーす

波風卓人
波風卓人
おう。ずっと部活休みで済まなかったな
あなた

いえ。お父様もう大丈夫ですか?

波風卓人
波風卓人
おう、父さんはもうちょっとリハビリが必要だけど、あと一週間で退院はできそうだ
波風卓人
波風卓人
母さんもなんとか捻挫も治ったしな
あなた

よかったですね

波風卓人
波風卓人
ありがとうな
波風卓人
波風卓人
そしてずっと部活休みだったお詫びを考えてたんだけど
波風卓人
波風卓人
今度、休みの日に校外で部活を行わないか?
あなた

はい?

一瞬意味がわからなかった。
波風先輩は、本当にいつも通りだ。
あなた

部活を外で行うんですか……? 七不思議は?

波風卓人
波風卓人
うん、七不思議の解明は一旦お休みしよう
波風卓人
波風卓人
せっかくのふたりしかいない部活だし、親睦を深めたほうがいいと思ってな
あなた

(先輩はわかって言っているのかなあ……?)

あなた

(それってもしかしてデートになんじゃ?)

あなた

(でも先輩、全く照れもなにもないから、普通に部活だよなあ……)

波風卓人
波風卓人
あなた?
あなた

いっ、いえっ! 外でなにをやるのかよくわかんないですけど!

あなた

外の部活は楽しみです! はい

波風卓人
波風卓人
そうか、楽しみにしてくれるか!
波風卓人
波風卓人
なら俺も張り切らないといけないな!
そう波風先輩は屈託なく笑った。
あなた

(……顔面偏差値の高い笑顔の破壊力はすごい)

あなた

(……でも、これはデートだと思わないほうがいいよなあ)

あなた

(どうしよう……休みの日ってことは当然私服で会うってことだよね?)

予定を決めると、この日はそのままお開きとなった。
私は家に帰った途端に、クローゼットの服を片っ端から引っ張り出す。
あなた

デートっぽいけどデートでなく、校外活動だけど校外活動でない

あなた

そんな都合のいい服ってあるの!?

さりげなく女子だとアピールしつつも、部活動らしくあんまり浮かれてもいない服。
そういう難しいオーダーをクリアする服を探し出す羽目になったのである……。

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