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第4話

俺と彼女の
82
2018/07/25 23:36
何年前だったか。
俺が中学生の頃だから、もう10年以上前の今日。
花火大会の日に、彼女は逝ってしまった。
不幸な事故だった。

それ以来、彼女は夏祭りの日にだけ姿を現す。
毎年違う浴衣で、でもその合わせは死人のそれで。
所詮幽霊。俺と、霊感のある人にしか見えないし、本人は何にも触れることは出来ない。
それでも彼女は毎年俺を待っていてくれるから、俺はこの祭りに毎年足を運んでしまうのだ。

彼女と別れた後はとても虚しくなる。
悲しくなる。
それでも、たった数時間、夏の一日の思い出のために、俺たちはこの場所で再会する。

これが、俺と彼女の夏祭り。


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