第5話

岩泉くんの初恋3
1,987
2018/07/20 23:56
あの日から1週間。私は岩泉くんを避けまくっ

ていた。

岩泉くんもこんな私嫌だよね…。

都合のいいときだけ頼って、ほんと最低…。

岩泉くんも最初は私を訝しげな目で見てたけ

ど、最近はほとんど目も合わない。

自分で決めたくせに寂しいと思った。

ほんと…自分勝手すぎて嫌になる。

そんな時橋本くんから放課後、空き教室に呼び

出された。正直行きたくなんかなかったけど…

「自業自得、だもんね」

ひとり、そうつぶやいた。

そして放課後、指定された空き教室へ向かって

いると、

「おい、あなた」

あ…もしかして、

「い、岩泉くん……どうしたの?」

自分で分かってるくせに…

岩泉くんが口を開きかけたとき、

「あ、いたいた。おーいあなた!」

後ろから抱きつかれた。

一瞬、抵抗したけど、橋本くんの力にかなうは

ずもなく…

…嫌だ。誰か…助けて…

そう思ったけどこれを選んだのは自分だ。

諦めたそのとき

「橋本、お前離してやれよ。嫌がってんだろあなた」

その言葉を聞いた橋本くんは鼻で笑って、

「嫌がる?なんで?あなたは俺の彼女だよ?ね、あなた」

狂気をも帯びたその言葉と声色に頷くしかなか

った。

それに満足したのか、橋本くんは私の前に来て

岩泉くんに見せつけるように顔を近づけ…

唇が重なってしまう。

…え?…私、今…

そう理解した途端、嫌悪感がこみ上げる。

「…っぃやあ!」

そのまま、走った。その場から逃げ出したくて

ひたすら。

「あなた!」

後ろから名前を呼ばれたけど振り向くことなん

てできなかった。



多分次で終わりです。

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