第11話

年下のアイツ
2,489
2018/08/19 05:26
私は弥生あなた!音駒高校3年で、バレー部

のマネージャーやってます。

インターハイも終わって夏休み。他の部活の3

年生は引退してる人がほとんどだけど、猫又監

督念願の『ゴミ捨て場の決戦』ってやつを私達

3年も叶えたくて春高まで残ることに決めたん

です。

そんなこんなで今は夏休みの長期合宿。はやく

ドリンク作りしなきゃ!あ、洗濯物も入れない

と!バタバタしていると何かにつまづいた。

(やばい、こけるっ)

そう思って目を瞑っていた……けど衝撃がこな

い…?代わりに腹部に圧迫感がある。

「何やってるんすか。」

耳元で程よく低い声が聞こえた。顔を見なくて

も誰か分かった。

「え、なんかつまづいちゃった!ごめんね
ありがとう赤葦くん。」

そう言うと赤葦くんはふっと笑って

「いいですよ。弥生先輩が意外と、見た目に反してドジなの知ってますから。」

「な、先輩を馬鹿にしたな赤葦くん!!!!この恨みは必ず……!」

「はいはい。」

これがいつもの私達の関係。初めて会った時も

私がドジった時に助けてくれた。

……でも私は、赤葦くんのことをただの後輩だ

なんて思ってない。

……好き、だけど私みたいなやつなんか何とも

思ってないだろうしなぁ。

こんなことを考えているうちに今日の練習が終

わった。

自主練用のドリンクを作って向かったのは第3

体育館。

「おっつかれ〜!頑張ってる?」

「おおー!!!!ドリンク作ってきてくれたのか!さすがあなた!あかーしもう1本トスー!!」

木兎…相変わらず元気だな…。

「木兎さん。ちょっと休憩しましょう。俺そんな体力ないです。」

ドキッ。いつ顔を見てもドキドキする。

とその時黒尾が近づいてきて私だけに聞こえる声で

「なに?赤葦見に来たの?」

とにやにやしながら聞いてくる。

「うっさいなー!悪い?!」

「認めんのかよ!!!!」

とゲラゲラ笑い出す黒尾に1発蹴りを入れて食

堂へ向かった。

マネージャー達で晩御飯を食べていると

「ねぇねぇーあなたちゃんは赤葦に告白しないの?」

かおりちゃんが急に言うので思わずむせてしまった。

「なっ、かおりちゃん、げほっ…あーびっくりした!」

「いや、だって真面目な話さ、うちらあと半年で引退して卒業だよ?それにあなたちゃん音駒じゃん?」

「そーそー私2人お似合いだと思うし脈アリじゃないかな。」

「雪絵ちゃんまで?!」

うー、告白したいんだけど…振られるのこわい

し、二度と話せてないとか会えないとかやだ
し…。

それを2人に言うと散々説教された。

やっと解放されたので自販機に行くとそこには

赤葦くんがいた。

赤葦くんはこっちを見ると

「弥生先輩もジュース買いに来たんですか」

と話しかけてくれた。でもさっきかおりちゃん

と雪絵ちゃんと話していた内容を思い出して赤

葦くんの顔を見れない。

「う、うん。そうだよ…」

それからしばらく無言だった。俯いていたけど

赤葦くんが私をずっと見ているのが分かった。

「……弥生先輩。なんでずっと俺の方見ないんですか。」

「…そんなこと、ないよ…。」

こんな赤い顔見せれるわけないじゃん!

心の中でそう思った。

「……俺、なんかしました?」

今まで聞いたことのないくらい落ち込んだ声で

そう言った赤葦くん。思わず

「そんなことないよ!」

と顔を上げた。

すると……

赤葦くんの顔が近づいてきて…

赤葦くんのゴツゴツした手が私が俯こうとする

のを阻止する。

そして……唇が、触れ合った。







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