ーーーーダーズリー氏は、穴あけドリルを製造しているグラニングス社の社長だ。
ずんぐりと肉付きの良い体型のせいで、首がほとんど無い。
その代わり巨大な口ひげが目立っていた。
奥さんの方は痩せていて金髪で、なんと首の長さが普通の人の2倍ほどある。
垣根越しにご近所の様子を詮索するのが趣味だったので、
鶴のような首は実に便利だった。
ダーズリー夫妻にはダドリーという男の子がいた。
どこを探したってこんな出来のいい子はいやしない
というのが2人の親バカの意見だった。
そんな絵に描いたような満ち足りたダーズリー家にも、たった一つ秘密があった。
怖いのは、誰かにその秘密を鍵つけられることだった。
_____あのポッター家のことが誰かに知られてしまったら一巻の終わりだ。
ポッター夫人はダーズリー夫人の実の妹だが、2人はここ数年1度も会っていなかった。
それどころか、ダーズリー夫人は妹など居ないというふりをしていた。
なにしろ、妹もそのろくでなしの夫も、ダーズリーの家風とはまるっきり正反対だったからだ。
_____ポッター1家が不意にこの辺りに現れたら、ご近所の人がなんと言うか。
_____考えただけでも身の毛がよだつ。
ポッター家にも小さな男の子が居ることを、ダーズリー夫妻は知っていたが、
ただの1度も会ったことが無い。
_____そんな子とうちのダドリーがかかわり合いになるなんて………
それもポッター1家を遠ざけている理由の一つだった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。