それは僕がまだ幼稚園だった頃
今日も、昨日も一昨日も訓練で
顔以外傷だらけで
1人寂しく唯一の取り柄のピアノをしていたとき。
1人の女の子が…いや、君が、声をかけてくれたんだ。
「いっしょにあそぼ?」
ってね
それから僕は…僕達は、
数少ない遊べる時間を利用して、ずっと一緒にいた。
でも君は気づかなかった。
僕が無理して笑う時も、
ギリギリの所で傷を隠すのにも、
でもそれで良かったんだ
君に"また"迷惑をかけたくないから
君に"また"心配させたくないから
僕が信じた君だからこそ
嘘をつかなきゃならないってことも
時にはあるよね
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!