西畑side
俺はそう言ってあなたに背を向けた。
だって見たら、
あなたの傷ついてる顔を見なきゃいけないんだよ?
いや、傷ついてんのかな…笑
あれ?なんか目の前がにじんで見える、
でも何かはすぐ分かった
俺はあなたに泣き顔を見られたくなかったから
その場を後にしようと1歩歩き出した瞬間、
あなたが口を開いた。
俺は、背を向けたまま話を聞いた。
そう言って、
あなたの泣いてる声だけが俺の耳に届いた。
俺何やってんだろ…
あなたにこんな思いさせて、
こっちの方がダサすぎだろ…
俺はあなたを抱きしめたいと思って
振り向いた瞬間、
あいつがまた、あなたを抱きしめていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!