レイside
エマは、俺に向かって倒れたあなたを見て驚いていた。
不意にあなたの匂いが鼻をかすめ、ドキッとした。
俺は、あなたを抱きかかえると、エマに言った。
クラスメイトの女子の数人が、俺を見て叫んだ。
俺は階段を下りて、保健室に入った。
先生は、まだ来ていないようだ。
あなたをベットに載せて、保健室届けを書く。
あなたが何か言った気がして、ベットに近づいた。
あなたは、寝言を言っているようで、少し笑っていた。
俺の名前……?
思わず、声をあげてしまった。
あなたは、むにゃむにゃ…と言っていた。
俺はそう言うと、あなたの首に鼻を近づけた。
寝息を立てているあなたを見つめた。
ふと、口に出してしまってから、自ら赤くなる。
そんなに近くで見つめることはなかったが、
改めてこいつを近くで見ると………
・・・
あなたが起きたため、そう言って部屋から出たものの……
本当は、“これ以上一緒にいると、何かしてしまいそうだから”が、理由だった。
俺は、保健室の扉の前でため息をついた。
急に話しかけられて、驚く。
………やはりお前か、ノーマン。
いつも最悪のタイミングで来る、俺の幼馴染。
今まで俺の黒歴史を、散々こいつに見られた。
俺は、ノーマンを睨んだ。
つづく…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!