レイの手にあるのは、昨日私が書いたサイン本。
そして、今日この話は、7回目。
サインが、よっぽど嬉しかったのだろう。
レイに喜んでもらえて、勿論私も嬉しいが。
私は、レイの嬉しそうな顔をにこにこしながら眺める。
ドキッとする。
良かった……!!バレてない!!
危なっ……!!
でも、心配は無いだろう。
話したのは、一瞬だったし…
いつもの格好と、全然違ったし……!!
うん!多分大丈夫!!
私は、レイに話しかけられていた事に気づいて、
ハッとした。
レイは、私の頭の上に手を置いた。
私は、そう言ってレイを見た。
レイはそう言って、私の頭をくしゃっと撫でた。
すると……
横を見ると、クラスメイトのエマとノーマンが立っていた。
レイは、私の頭から手を離した。
私は、少し名残惜しそうにレイを見ると……
レイは、ニコッと笑った。
レイは、少し笑って………
私に聞いてきた。
レイは照れたのか、顔を真っ赤にさせて、廊下に出ていった。
エマはニヤニヤ笑っていた。
ノーマンも、笑いをこらえている様だった。
そうなんだ…!
やっぱりそういうのは、直接言わないと駄目なのかなぁ……
でも、自分から「好きだって言って欲しい」って言うのもなぁ……何か気が引ける。
ただでさえ、この前倒れたときも、迷惑かけたのに……
考えていると、ぽんっと肩を叩かれた。
振り向くとレイがいた。
ノーマンは、そう言ってレイに耳打ちした。
ノーマンは、私に笑いかけると
そう言って、教室を後にした。
それを追いかけるエマ。
こころなしか、レイの元気が少し無い様に見えた……のは気のせいかな………?
つづく…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!