レイside
色々、考えているうちに、何だか考えがまとまらなくなってしまった。
嫉妬心も、おさまらないし……
そうこうしている内に、あなたが来た。
あなたは、笑顔で俺を見たと思うと……
見透かしたような目で、俺をみる、あなた。
俺は、そんなあなたに、なぜかイラつきを感じた。
そう言って、俺の顔を心配そうに見つめるあなた。
そんな彼女に、俺は言った。
俺の大声に、驚いて身を退くあなた。
俺は、黙って俯いた。
あなたは、申し訳無さげに謝った。
だから……
そういう、お人好しすぎるところが……
また、こっちを見る、あなた。
その顔は可愛いくて、透明感があって……
だから俺を……
そんな顔で………
考えているうちに、更に、何がなんだか分からなくなってきた。
そこで、俺は、最大の失態を犯した……
見ると、目の前のあなたは、目をまんまるにして……
驚いていた。
そこで俺は……
気づいた………………
「嫌いだ」だけでは、大分意味が変わってしまうことを。
俺は、慌てて言い直そうとしたが、もう時すでに遅し。
あなたは今にも泣きそうな顔で、そう言った。
それが……
涙目で俺の方をチラチラと見る、あなたが……
あまりにも痛々しくて、俺は後悔した。
あなたは、無理やり笑っていた。
それを見た途端、ズキンズキンと、胸の奥が痛んだ。
そう言っている、あなたは、大分無理をしているようで、顔色が悪かった。
あなたは、そう言うと俺の横を、駆け抜けた。
俺は、あなたの手を握ろうとして……
握れなかった……
あなたの涙が見えたから……
見た瞬間、自分が泣かせて、流させた涙だと理解したから……
つづく…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!