教室
私とレイは、教室に戻った。
エマたちに、あったことを話した。
そう言って、ニコッと笑ったエマからは、“圧“
を感じた。
レイに後ろから抱きしめられる。
エマはそう言ってから、レイに対抗するように私の頭を撫でた。
二人が、言い合うので、私は止めに入ろうとした。
私の声は、かき消された。
唯一、分かってくれそうなノーマンも、苦笑いしかできていない。
恥ずかしいから、やめてほしいのに、二人の言い争いは、止まらない。
タイミングを見て、言う。
ぎゅーっとエマに抱きしめられる。
レイは、本気でエマを離そうとする。
呆れ半分、怒り半分のレイが、そう言うと……
エマの意外な答えに戸惑う私と、泣き出すノーマン。
その後ろで、まだ言い争い続ける、エマとレイ。
そう言うノーマンは、にこにこしながら泣いていて、なんとも奇妙。
そう言って、エマに近づく。
エマがそう言った瞬間、ノーマンから、「ガガガガーン」という、ベートーヴェンの『運命』の曲が聴こえた気がした。
私は、何とか慰めようと努める。
パアアッと笑顔になる、ノーマン。
そう言おうとした途端、後ろから口を塞がれた。
普段の皆からは、想像出来ない、感情の渦に、私は……
とりあえず、喧嘩にはならない様にと、落ち着かせようとした。
すると…
急に名前を呼ばれて驚く。
エマは、私がそう言うのと同時に、にこーっと笑顔になった。
ノーマンは、嬉しそうに笑った。
レイに、ギュッと手を握られる。
レイは、珍しくじっと見つめてきた。
今まで以上に、長時間見つめられた私は、照れたのを、笑って誤魔化した。
二人は、頬を膨らませ、レイを睨んだ。
ノーマンとエマが、あまりにも似た顔をして怒っていたため、私は笑った。
「大好き」と言いかけて、さっきレイに言われた、「他の人には言うな」という言葉を思い出し、躊躇った。
私は、ニコッと笑ってそう言った。
二人は、「うん、そうだね」と、頷きあっていた。
突然、エマが言い出したことに、私は驚いて、
目を見開いた。
レイの照れてる顔を見て、自分の顔が、カァーッと熱くなるのを感じた。
エマがにこにこしながら、言った。
多分……だけど。
そんなことを言った覚えはない……はず。
エマの言葉に、私はイヤな予感しかしなかった。
つづく…
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。