(良いよね、これぐらい。本当はさ、私なんか後ろに乗せて貰える訳ないんだからさ。)
喧嘩だけが全てのこの世界。
その中で誰もが認めるカリスマ性持ち。
1つの黒星も付けられた事の無い、喧嘩の強さ。
誰よりも相応しい、『無敵』の異名。
頭もキレて、顔も整っていて、綺麗な金髪はサラサラで。
君の全てが皆を惹き付ける。
私は君の傍に居る人間として釣り合わない。
相応しくない。
私は " 東卍の仲間 " だから。
女の子の鏡みたいな " エマちゃん " にはなれないから、立候補なんて今更出来ないし。
この先、万次郎に特別な女の子が表れたら私は離れなければならないのは目に見えていた。
若し、傍に居られたとしても、
今のようには一緒に居られない。
だけど、それでも良いと、万次郎の傍にいる事を選んだことに後悔はしていない。
万次郎が私を拒絶するまでは。
万次郎が選んだ特別な女の子が現れるまでは。
それまでは私はこの立場と役割に、誰が何と言おうと、居座り続けてやろうと思う。
(それまでは甘い蜜を吸っていよう。狡過ぎるって責められるだろうけどさ。)
これぐらい良いでしょ、
この気持ちを砂糖漬けにしようなんて思ってないんだからさ。
私は今この瞬間に万次郎が与えてくれる " 特別 " で満たされていたいだけ。
初めから、
この想いがどうなるとも思ってない。
届くとも、叶うとも、散るとも思ってない。
気づかれず、
悟られず、
時間の流れと私の身と共に朽ちていく。
ただ、それだけ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。