第15話

Realize(3)
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2021/07/18 15:02
三ツ矢 隆
親兄弟吊るされて、金巻き上げられて。
佐野 万次郎(マイキー)
三ツ矢 隆
で、藁にもすがる思いでパーに相談してきたんだ。
あなた
___なんだその胸糞悪ぃ話。
三ツ矢 隆

私の言葉に三ツ谷がピタリと会話を止める。











あなた
誰の親友に手出したか丁寧に教えてやった方が良いんじゃねーの?












私の放つ殺気に三ツ谷の顔が強ばった。





あなた
で、いつ潰しに行く?明日?今夜?今から?
龍宮寺 堅(ドラケン)
落ち着け、フワ。
それを明後日の集会で皆に聞く。
三ツ矢 隆
愛美愛主は規模的に見ても東卍ウチよりもデカい。今回ばかりはお前が単独で動いても簡単に片すのは不可能だ。
あなた
龍宮寺 堅(ドラケン)
それにお前についての悪い噂も聞いてる。
あなた
悪い噂?
三ツ矢 隆
お前のこと狙ってる奴がいる、って噂。
龍宮寺 堅(ドラケン)
何処のどいつか、まだ分かってねぇ以上、お前を単独で行かせる訳にはいかねぇ。
あなた
…成程。話は分かった。

(私を狙ってる奴、ねぇ。)


何が目的かは知らないが、どんな相手であれ、

対峙すれば恐らくかなり物騒な展開にはなるだろう。



考えたくはないが、

私を狙う輩が東京卍會内部ではない、

という保証は現在の時点では得られない。

あなた
佐野 万次郎(マイキー)

『スタ、スタ、スタ』

『ヒョコッ』

深刻な空気になる中、私の後ろから顔を覗かせた万次郎がヘラりと笑う。
佐野 万次郎(マイキー)
ねぇねぇ?ケンチン?
龍宮寺 堅(ドラケン)
あ?
佐野 万次郎(マイキー)
お腹空いちゃった!
龍宮寺 堅(ドラケン)
しゃーねーなぁ…って、あ。
あなた
ん?
龍宮寺 堅(ドラケン)
悪ぃ、マイキー。
昼にやった分で最後だった。
佐野 万次郎(マイキー)
えー!!!
あなた
あ、それじゃ、

背負っていたサッチェルバッグをスルリと降ろすと、

バッグの金具を外して、中から " 例の物 " を取り出す。
あなた
はい、どら焼き。
マイキーにあげる。
佐野 万次郎(マイキー)
わーーー!!ありがと、あなた!

万次郎の顔の前に差し出すと、彼は両手で受け取るなり、目を輝かせながら喜びの声をあげた。

私はその様子を見て、「うん。」と頷く。
三ツ矢 隆
ぶはっ!またどら焼き入ってんじゃん!
龍宮寺 堅(ドラケン)
お前んとこ、校則厳しいんじゃねーの?
あなた
うーん、まぁね。でも、言い訳は幾らでも出来るし。
それに今回のはマイキーが迎えに来てくれる間に買ったものだから。
龍宮寺 堅(ドラケン)
ふーん。

口をモグモグさせながらどら焼きを頬張る万次郎を見て、三ツ谷は頬を緩めた。
三ツ矢 隆
さて、と!そろそろ帰るとすっか!
龍宮寺 堅(ドラケン)
だな。あー腹減った。

武蔵神社を後にする4人の足は、ゆっくりと鳥居へと向かっていた。
あなた
今日はどうすんの?
エマちゃんに会ってかないの?
龍宮寺 堅(ドラケン)
あ?もう会ってきたから明日で良い。
あなた
そっか!

(ちゃんと明日 ・ ・も会うんだねぇ。)


ニシシッと1人で笑っていると、

ドラケンの「何笑ってんだよ、気持ち悪ぃ。」という声が降ってきた。












参道を歩き、鳥居を潜り抜ける。

ふと後ろを振り返れば、そこは寂しい神社の社があるだけだった。
佐野 万次郎(マイキー)
あなた、行くよ。
あなた
うん。

万次郎の呼び掛けに応じ、私は万次郎のバイクの後ろに跨った。


私は神社に微笑みかける。


あなた
じゃぁね、また明後日。

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