第6話

二人だけ
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2021/09/28 01:00
二人で裏口から屋敷を出る


怪盗K「少し騒がしくなってきましたね」


なかなか現れない怪盗Kに痺れを切らしたのか、さっきよりも慌ただしい雰囲気が辺りを包む


二「貴方が中々姿を見せないから必死なんですよ…

僕の両親は、妹が拐われると思っているんですから…」


怪盗K「私は一言も妹様のことは予告状には書いていませんよ?」


ニ「両親は僕よりも妹が大切なんです…だから、貴方が妹が拐うと信じて疑わないんですよ…」


自分で言ってて悲しくなってくる…


昔から気づいてたはずなのに…


あえて言葉にするとやっぱショックだな……


怪盗K「小太郎様………」


少し気まずい空気が漂う


ニ「……でも、もういいんです






この家も、両親も、妹も

















僕にはもう必要ありません


















だって、貴方が僕の事見つけちゃったから


僕の心を盗んだ責任はとってもらいますからね!」


最後に強気で


僕の事離したら許さないんだから


怪盗K「ふふっ、それはこちらの台詞です。

貴方は私の宝石です。

世界で一番美しく、強い宝石。

一生涯、私の側にいてくださいますか?」


ドキッ


まただ…


彼が発する言葉一つ一つに翻弄される


この人が気になってしょうがないんだろうな…僕は…


ニ「はい。離さないでくださいね?
僕も貴方のこと離しませんから」


六「光栄です」ニコ


こんなに真っ直ぐに気持ちを伝えてくれた人が居なかったから、恥ずかしいけど嬉しい


怖いくらいに綺麗な夜に


少し手を伸ばして僕は届いたんだ














貴方に…


怪盗K「そういえば、私としたことが、まだ名乗っていませんでしたね…


小太郎様
















私の名前は『六花清春』です。」


六花清春…


綺麗な名前だなぁ


ニ「呼んでもいいですか?」


六「はい。小太郎様」


ニ「僕のことも呼んでくださいね?

様付けは無しですよ?」


六「ふふっ、はい。分かりました」


ニ「清春さん…」


六「はい、小太郎くん」


ドク…ドク…


ニ「ッッ」


ただ、名前を呼ばれただけなのに…


こんなにも心臓が痛い…


きっと、僕の心は清春さんに奪われる事は決まっていたんだ


もう一度、手を伸ばして清春さんに触れる


貴方が他の人(宝石)に目移りしないように…


念をおす


ニ「もう一回言いますね


清春さん…



















僕のこと離さないで…




















ずっと側にいるから




















ずっと側にいて?」


僕がそう言うと


僕の手に自分の手を重ねて


六「それはこちらの台詞です。


小太郎くん
















あのテラスで会った日から、きっと決まっていたんです


私達が再び出会うことが
















小太郎くんこそ

私から離れていかないでくださいね?」


ニ「ふふっ、はい」









    

















まだ、屋敷の敷地内なのに


見つかったら捕まるのに


でも、そんなこと気にしていられなくて


ただ、目の前の僕の運命の人に少しでも触れて
いたくて


お互いに手は離さないまま


ニ「…」


六「…」


惹き付け合うようにそっと唇を合わせた


初めて会った日のように、夜空をバックに月明かりをスッポトライトにしながら



















盗み盗まれた心
 

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